「ご、ごめんて・・雷」
「“ごめん”じゃない、“ごめんなさい”だろ」
「ご、ごめんなさい…」
雷の逆鱗に触れてしまった奏は、項垂れてひたすら彼の説教を浴びるしかないようで。
足が痺れているのか、ふらふらと体が揺れていた。
「雷、もういいわよ」
「え?!えー、だってこいつ、シスイにセクハラしたんだよ?」
「せ、セクハラって・・」
雷は納得がいかないとシスイに言ったが、彼女は未だ正座して項垂れている奏を見た。
「大丈夫。
今聞いたけど、奏、私を起こしに来てくれたんでしょう?
私も理由知らないで悲鳴上げちゃったんだもの。ごめんね、奏」
「い、いや、俺は大丈夫…」
だから、もう止めて、ご飯食べよう。
シスイはそう言ってまた雷に視線を戻し彼の頭を撫でた。
雷は暫し腑に落ちない顔をしていたが、やがてぱっと顔色を変えて“うん!!”とシスイに抱きついた。
「(それこそセクハラなんじゃ…)」
「奏?何か言った?」
「い、言ってないよ!!」
奏は立ち上がろうとしたが足が痺れて動けない。
「ぬ・・わ・・!」
「奏?」
シスイが奏を覗き込む。
「痺れた…」
「……」
雷が近寄り、ニヤリと笑う。
そして。
「ぎゃぁぁああぁあ!!!」
「ふふ。油断大敵、ってね」
さ、ご飯食べよー!!
雷はそう言い捨て、スキップする勢いで食卓へ向かった。
「全く。雷もおいたが過ぎますね」
「痺れた足に蹴り、か」
「流石、雷だな」
床で悶えている奏を横目に彼等も席に着き、珀が作ってくれたおかずと一緒にほっかほかのご飯に舌鼓を打つのだった。
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