それから。

ラティオス達は本当に世話になったとすぐ原型に戻り、窓から飛んでいった。
シスイは姿が見えなくなるまでそれを見送り、さて。と呟いた。



「雷は?」
「部屋ですね」



海輝がふっと階段のある方を見て、ため息を吐く。


1回いじけてしまうと、なかなか直らないのが雷の悪い所。
これでも前よりは大人になったんですけど、と海輝が言う。


シスイは海輝に歩み寄り、ニコッと笑った。
そんな様子に海輝は不思議に思った。




「シスイ?」
「心配いらないわね、海輝」



シスイが指差す方向を見ると、不貞腐れて頬を膨らます雷の姿。
不機嫌な顔で海輝をちらと見やると、無言で食卓のイスに座った。



「おかえりなさい、雷」



珀はクスッと笑うと、コトリとコーンスープの入ったカップを置いた。
珀にお礼を言うと、またちらっと海輝を見てすぐに視線を逸らしてしまった。




「僕はまだ許してないんだからね海輝」



フンとそっぽを向き、コーンスープに口を付ける。
予想だにしなかった熱さに少したじろぐ。



「あちっ!!」
「おいおい、気をつけろよ雷」



獅闇が雷の隣に座り、ぐしゃりと頭を撫でた。
奏も牙もまたセンターのフィールドに行ってしまっていないが、雷を心配していることには変わりない。



「僕は奏達には別に怒ってないもん!海輝に怒ってるんだもん!!」



それを聞いた海輝は少し淋しそうな顔をして、雷を見た。



「そ、そんな顔したって駄目なんだからね・・!!」
「雷・・俺はまた雷とキャッチボールがしたいです・・」
「う……あーもう!わかったってば!許せばいいんでしょ許せばー!!あー!!もうずるすぎ海輝!!」
「はい、ありがとうございます雷」



単純すぎだろ、雷。


という獅闇の突っ込みにシスイも珀も頷きつつ。





“一件落着ね”とシスイは笑ったのだった。








〜続く〜



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