それから少し静かになったリビングではシスイと海輝と獅闇がラティアスと談笑しており、珀はキッチンで夕飯の用意をしていた。



するとものすごい足音が響き、ドアが勢いよく開いた。


出てきたのは奏より少し若い青年。
服が青い。
もしかして。



「ラティオス?」
「はぁ・・はぁ・・」



ラティオスは酷く息切れをしていて、頷くので精一杯らしかった。
その後ろから奏と牙が続き、彼等も少し疲れているようだ。

ラティオスは妹を見つけると、大股で歩み寄り…



「この大馬鹿者!!!!」
「っ!!!」



と怒鳴った。
いつも優しそうに笑っているのに。
シスイ達は軽く目を見開いて、そのやりとりを見た。



「起きてみたらお前がいない。
探してもどこも見当たらない。
あの人達が俺を呼んでなかったらお前はずっと見つからないままだったんだぞ!!
少しは兄さんの心配くらい考えろ!!!!」


また暫く沈黙が続いた。


次第に鼻を啜る音が響いてきた。
それはラティアスのもので、彼女は大粒の涙を流して泣いていた。
ラティオスはそれを見て、ギョッとする。



「ごめ・・なさい・・!ごめんなさい・・!」
「・・・はぁ〜・・!!ったく・・もう心配掛けないでくれ」




ラティオスは彼女の頭をポンポンと撫で、シスイに向き直った。



「すまなかった。
妹が迷惑掛けて。それに勝手に入り込んでしまったし…」
「いいえ、大丈夫よ?よかったね、見つかって」



ラティオスは困った様に頷いた。
シスイはニコッと笑って、またいらっしゃいなと二人の傍に歩み寄った。
ラティアスはがばっと彼女の腰に抱きついて兄を見上げた。



ラティオスは前髪を掻き上げ、困った顔をする。

だが、本当にこの二人は仲がいい兄妹だなあとシスイが見つめていると、珀がキッチンから出てきて人数分のコーンスープを持ってきた。


ふわふわと湯気が上がっており、リビング中にいい香りが漂い始める。
すると、ラティアスがシスイから離れてカップを覗き込んで、顔を綻ばせた。



「わ、ぁ……!!」
「ラティオス達、どうぞ飲んでいってください。疲れたでしょう?」



海輝がまたニコリと笑って、彼等をテーブルへ促す。
ラティオスは最初は遠慮していたものの、海輝の笑顔に圧され、仕方なくイスに座ってそれを頂いた。



「お、美味しい!!美味しいね兄さん!!」
「あ、ああ…」



なんだかんだ言って、兄妹はおいしいコーンスープに舌鼓を打ったのだった。






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