ラティアスたちと知り合ったきっかけはまた後日にして。
相変わらずませていたラティアスに苦笑しつつ。
そう言えば、とシスイは彼女に問いかけた。




「ラティアス?」
「なぁに?」
「お兄さんは?」
「・・・・え?」



ああ、そうか。
この子は兄の目を盗んでここまで来たんだな。


シスイは瞬時にそう推理し、彼女を見た。
つーと冷や汗が流れるのが見える。


あは、はははと空笑いするラティアスにはぁとため息を吐き、兄であるラティオスの行方を聞いた。



「た、たぶん・・お家だと思うよ・・」
「駄目じゃない、勝手に出てきたら。心配するでしょう」
「うー・・だって、行こう!って言っても兄さん、恥ずかしがっちゃってなかなか行かないんだもん!!」




何故恥ずかしがる必要があるのだろう。

シスイはそう思ったが、あえて口には出さず、彼女の話を黙って聞くことにした。



「だから、思わず出てきちゃった」
「あーお前ムカつく!!早くシスイから離れてよ!!」



雷が強行突破に出た。
ラティアスとシスイの間に無理矢理入って、二人を離そうとする。



「わっ、ちょ、やめてよねライチュウ!!」
「僕はちゃんと“雷”って名前があるの!ま、お前には呼ばせないけどねー」




雷が珍しく意地悪なことを言うものだから、シスイはこらと雷を叱った。
人に優しく、そう普段から彼らに教えているのだが。



「こら、雷」
「う、シスイ、だってこいつ!!」



シスイは雷の頭を一撫ですると、そっとラティアスを離し、牙と奏の元へ行く。


そして二人にしか聞こえないような声で彼等に話しかけた。



「お兄さんを呼んできてちょうだい。
きっとミナモとトクサネの間を飛び回ってれば見つかるし、いざとなったら叫べば来てくれる筈よ」



その言葉に二人は苦笑し、“了解”と忍者のごとく、音も立てず家を出て行った。
シスイはそれを見送り、ふっと息を吐くと珀から包丁を取り上げ、テーブルに置く。



「珀」
「・・!・・・申し訳御座いません・・・シスイ様」
「ううん、気にしないで。獅闇もありがとう」
「いや、大丈夫だ」



獅闇は頭の後ろで手を組んでソファにボスッと座る。



「あー!!だからシスイは僕の主なの!!お前のじゃない!!」
「何言ってんの!シスイとはもう将来を誓い合った仲なのよ!!」



ちょっと待って。
そんな約束した覚えはないんだけれど。

シスイはまた苦笑して、言い合いしてる二人を見やる。
これなら海輝が止めてくれるだけでいいかな。


そう思い、食卓のイスに座って奏達の帰りを待つことにした。








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