青と赤の兄妹
以前、なにかの機会で仲良くなった兄妹がいた。
あの子達は元気にしているだろうか……
* * *
何かを叩くような音がして、
シスイはふっと窓を見た。
そこに現れたのは。
「・・ラティアス・・?」
赤い体躯のそのポケモン。
ラティアスが窓を覗き込んでいた。
誰かに見られたら危ないとシスイは急いで窓を開けて、彼女を中に招き入れた。
『ふぅ!ありがとう!シスイ!!久しぶり!』
ラティアスはすぐに人型になるとぎゅっとシスイに抱きついた。
少し幼い女の子。
シスイはどう致しまして、久しぶりねと頭を撫でてやった。
「…シスイ様」
「珀」
帰宅した珀達が目を見開いてこちらを見ていた。
雷に至っては持っていた荷物を全て床に落としている。
暫し沈黙が続いた。
「あなたがシスイのパートナー?」
「・・ええ、そうですが?」
ラティアスは上から下までじっくり珀の姿を見ると、はっと鼻で笑った。
「ふーん・・・胡散臭そうな顔!」
「・・・・」
ピクリと動く珀の形のいい眉。
ぶわりと漏れ出す殺気。
「わあああ!!珀落ち着いて!いつもの冷静さはどうしたの!!」
「珀、落ち着け、って!!いくらなんでもガキ相手に包丁はないだろ包丁は!!」
奏と獅闇二人掛かりで背後から今にも包丁を持って刺しそうな珀を止める。
「ふんっ!危ない人だね、シスイ。こんなの止めて私にしたら?」
さすが伝説。幻。
そんな殺気にも動じず、未だぎゅぅと抱きついているラティアスは、彼女の腕に頬擦りする。
「ねぇ、そこの赤いの!」
「・・・なに?」
雷が耐えかね、ビシッと指差しラティアスに声を掛ける。
「ちょっとシスイにベタベタし過ぎじゃない?離れてよ」
「ハッ。・・嫌だね、シスイは私のなの!」
ねー!とラティアスはシスイから離れようとはしない。
それを見た雷はわなわなと震えだし、怒鳴り散らす。
そして海輝が雷を宥める。
しかし、それをラティアスは物ともせず、ニコニコとシスイに笑いかけた。
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