何でも、ウツギ博士が言うには劇的な変化がないので、今回はワカバタウンに出向かなくてもいいらしい。


それでもちゃんと報告してくれる博士は案外マメだと思う。
だが、その度あのムクホークが飛ばされるのだと考えると、ちょっと彼が気の毒だとも思う。



しかし、シスイはその報告が聞けただけでもよかったと微笑んだ。
だからもう少しタマゴをウツギ博士に預けるという伝言をムクホークに託した。
頑張ってくれたムクホークにフードと水も忘れずに。




『任しとけ!よし、早く行かないと日が暮れるからもう行くな!』
「ええ。道中気をつけてね」
『ありがとうなお嬢ちゃん!』



とムクホークはバサバサと羽を羽ばたかせ、飛んでいった。




「騒がしい奴」



奏がボソリと言った。
それに隣にいた牙も頷く。



「そういえば、海輝と雷と獅闇はどこにいったの?」



シスイが三人がいないことに気付いて、奏を見る。
すると奏は無言である方向を指差す。

シスイはその方向を見た。
牙と珀も顔を向ける。




「ったく…何で俺まで引き込むんだよ…」
「そうですよ雷・・俺はやりませんと言ったでしょう・・」
「だってだって!楽しいよ!バンジー!」
「楽しかねーよ!」
「楽しくありませんよ!」



びしょ濡れの3人が歩いてくるのが見え、シスイは大変!と、タオルを取りに家に入る。




「!シスイ様!わ、私が・・!」



先ほどのティーカップの仕返しか。
シスイは珀の言葉に耳を貸さず、自分でタオルを取りに行ってしまい、今度は珀が苦笑する番だった。




「おかえり、3人とも」
「おかえり」
「「ただいま…」」
「ただいま!奏!牙!」



げっそりしている海輝と獅闇。
反対に未だ興奮冷めやらぬ様子の雷。

奏は獅闇と海輝の肩をポンと叩き、“どんまい”と励ます。


そして3人はシスイからタオルを受け取り、家に入った。




* * *




「ぶぇっくしゅん!!」
「へっくしゅん!!」



獅闇と海輝が同時にくしゃみをした。
それを見て、急に慌てだす雷。



「か、海輝・・!獅闇・・!」
「何慌ててんだよ・・」
「そうですよ・・別に雷のせいではないんですからね」
「・・でも・・!」
「でもじゃない。風邪に誰のせいとかあるかっての」



あーさみぃ・・。


獅闇はそう呟き、自室に戻ってしまい・・



「雷・・すみませんが、珀から紅茶を貰ってきてくれませんか」
「・・うん!!待ってて!とびきりおいしいのって頼んでくるからね!!」




それを微笑んで見送り、海輝は気付かれないように自分の額に手を当ててみるのだった。











〜続く〜



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