「誰も珀には敵わないんだな」
獅闇がぽつりと零すように言った。
その言葉に奏が深く頷いた。
「勿論。まあ、経験の差っていうのかな」
なんて言ったってシスイとずーっと昔からいるんだし。
奏はそう続けて、二人の後ろ姿を眺めた。
昔からの深い絆、確固たる信頼。
それがにじみ出ているようだと彼らは笑った。
「ま、でも俺らも負けてないよねー」
「そうそう!シスイを大好きな気持ちは負けてなーい!」
奏の言葉に大きく頷き、雷は声高らかに言った。
その言葉を聞いた彼らの顔はとても自信に満ち溢れていた。
“よし、家まで競争!”と走り出した奏を追いかける雷を見ながら、海輝もそれを微笑ましそうに見つめた。
「ね?あったかいところでしょう、ここは」
獅闇に問いながら、また一つ笑いを零した。
「ああ」
獅闇は一言そう返すと、先に行ってしまった彼らを追うように歩を進めるのだった。
〜続く〜
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