『ちょろちょろと…って…げ』
『奏・・?…珀……』
『…珀』
『うわ……』
4人はさっと顔を青くした。
するとさっきまでの賑やかさが嘘のように辺りは静寂に包まれる。
ただそこに珀がいるだけだというのに。
彼の持つ圧倒的なオーラに誰も何も言えないでいるようだった。
「珀…すげー…」
「ふふ。伊達にうちのリーダーやってるわけじゃないからね」
そう呑気にシスイは笑っているが傍から見ても珀のオーラは痛い。
痛すぎて目を背けたくなる。
珀はギロリと左右を睨みつけ、
『シスイ様のお手を煩わせるつもりですか』
と一際低い声を発した。
すると奏と牙は地面に着地して人型に、海輝と雷もそれに倣って人の姿に戻った。
それを見届けると、珀もふっと息を吐いて同じように人型に戻る。
「!シスイー!」
シスイがいることに気づいた雷は、いつものように彼女にぎゅっと抱きつき、満面の笑みを向けた。
さっきまでの真剣な眼差しが嘘のようだった。
「おかえり、雷。皆」
「ただいま・・ごめん・・シスイ、熱くなりすぎちゃった」
奏はしょぼんと謝り、海輝と牙も謝罪した。
シスイにいつも本気になるときはそれ相応の時だと教えられていたから、尚更申し訳なく思っているのだ。
「ごめんなさい・・シスイ」
雷も抱きつきながら、謝る。
そんな彼等にシスイはクスッと笑いを漏らすと、雷の頭を撫でながら言った。
「いいのよ、たまにはこんな時もあっていいかもね」
本当だったら私がバトルをしに、どこかに赴けばいいだけの話なのかもしれないけれど…
と苦笑した。
そんな顔に奏が口を開こうとしたが・・
「いいえ。奏達は十分バトルしました。
当分しなくてよろしいでしょう。ですから、シスイ様がそのようなお顔をなさる必要はどこにも御座いません」
さて、帰りましょう。
と珀が促す。
それにシスイは頷き、ありがとうと言って笑った。
珀もそれに笑顔で返し、シスイが歩き出してから自分も歩き出した。
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