『・・・・・』
剣呑に光る深緑の双眸。
『・・・・・』
すっと細められる深青の眼(まなこ)。
そして、がさりと動く漆黒の体躯。
『うわっ!!あぶねっ!!獅闇、不意打ち禁止!!』
『“ふいうち”なんてしてねーよ。シャドーボールぶっ放しただけだろ』
『技名じゃないし!!』
ぶわっと飛んだ黒い塊は一直線に奏に向かったが、彼はそれを間一髪で避ける。
だが。
『ぎゃー!!き、牙何すんの!!』
即座に獅闇の後ろから電光石火で突進する牙。
奏と牙の日課、センターのフィールドでの特訓に今日は獅闇もいる。
だが、いつの間にか奏をターゲットに牙と獅闇がタッグを組んでしまっていた。
言葉では慌てているものの、やはりひょいひょいと避ける奏は手慣れている。
“さすが奏”という獅闇の言葉に奏は調子をよくしたのか、光をチャージしだす。
『げ』
『・・・・こんな所で・・』
太陽の光をチャージし、発射するソーラービーム。
今日は不運なことに、快晴。
威力もそこそこ強くなるだろう。
チャージし終わった奏の顔は清々しく。
『発射ー!』
ぶわっとすごい光が発射される。
咄嗟に牙達は“まもる”をした。
それでも衝撃波はなかなかのもので。
舞い上がった砂埃に牙達は目を瞑った。
『さっすが獅闇、牙』
『いきなりソーラービームとか場所を考えろよ場所を』
『そうだ、ここはセンターのフィールドだぞ』
牙達は奏に近寄りながら、呆れた風に言った。
それを躊躇いなく発射した当の本人は飄々と笑っている。
『いやぁだって、獅闇が俺を褒めるから』
『それだけでか!?それだけでお前はあんなもんをぶっ放すのか!?
じゃあシスイがお前を褒めたら、俺等は“はかいこうせん”の餌食になってたってか!』
『違いないな、獅闇。こいつは昔、ダイゴのエアームド相手に“りゅうせいぐん”を躊躇いなく落としたぞ』
牙の話に獅闇は口をあんぐりと開けた。
ドラゴンタイプの中でも最強の技、“りゅうせいぐん”。
滅多なことではシスイもこの技の指示は出さないのだと言っていたが。
きっと奏の何かを燻るものがあったに違いない。
獅闇はそう考えて、察知した気配に首をすっと上げた。
と、次の瞬間。
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