愛だよ、この世で重要視されるべきものは愛だけさ。僕はね、僕の目標、魔法界の浄化、それは愛だと思っているんだ。純粋な魔法使いを、その高尚なる血統を守る。どうだい、魔法使いとしての血を愛しているからこそだと思わないか。高潔で貴い魔法使いによってのみ支配される世界の実現、その追求の一端をなまえ、君にも担ってほしい。

馬鹿げたことを言っていうと自負しているが、僕が会話している相手が馬鹿げたことを本気で信じる馬鹿なんだからしょうがない。もっとも僕が直々に勧誘している以上彼女自身に才能があるのはわかってくれるだろうね。代々続く純血一家、品行方正、信頼も厚く、向学心と鋭い着眼点を持ち合わせ賢い。凡そ他人が欲しがる才能は持ち合わせているだろう。着々と実行しつつある僕の活動に役立つことは間違いない。そう判断して今勧誘をしているのだが、僕がこんなナンセンスで無意義な言葉を連ねているのは、酷く悲しいことに彼女がその聡明で知的好奇心溢れる人物であったからだ。必要と思われる知識を概ね身につけた彼女の持て余す知識欲の行き着いた先が愛の解明だったということらしい。本当に馬鹿げていると思うものの彼女を釣るのに最も適した餌だということに間違いはない。(全ては彼女を味方につけるため、そのために先日交流を深めようと思い愛について彼女と語った時、僕は甚だ滑稽だと鼻で笑いたくなるのを必死で堪えたのだ。)彼女が純血主義の素晴らしさに気づいてさえいればこんな事態にならなかったのに、どうやら思想の勉強をしたところで知識の一部としてしか吸収されなかったようだ。僕が直接教えを説いてやってもいいが利口で馬鹿な彼女が内に潜む危うさ過激さといったリスクに気づいて離れられては困る。要するに彼女がどちらかに転がる前に捕まえてどっぷり浸らせてやれば問題ない。心の中で優秀な彼女を馬鹿だ馬鹿だと罵りながら、どうにも手放す気はないのである。




愛だよ、この世で重要視されるべきものは愛だけさ。僕はね、僕の目標、魔法界の浄化、それは愛だと思っているんだ。純粋な魔法使いを、その高尚なる血統を守る。どうだい、魔法使いとしての血を愛しているからこそだと思わないか。高潔で貴い魔法使いによってのみ支配される世界の実現、その追求の一端を君にも担ってほしい。

リドルくんは私を愛の探究者と思っている節があるようだ。とはいえそう見せかけているのは他でもない私なわけでーもちろん愛という形而上の、謎のエネルギーに興味を持ったのは事実なんだけどもー少しばかりややこしいことになっているのはお互いがお互いを探り合っているからかもしれない。彼も私も無駄に頭が良いことは承知の上なので。この際白状してしまえば私はリドルくんに関心がある。昔から有名人である彼は視界の端にチラチラ映っていたが、どうやら近頃私の興味は専らリドルくんにあるようで。それを恋と呼ぶか単なる好奇心の一部なのかは判然としないが(そして私の学問としての関心は愛という謎の解明に向いたわけだが、この際これはどうでも良いことなので割愛しよう。)彼の挙動を追いかける内に一つの思想に行き着いた。純血主義ー元々このホグワーツで覚えた数ある知識の一つにすぎなかったが、この思想が彼を構成する一部だとわかるととたんにそれは知識の掃き溜めから飛び出し輝き始めたのだ。ただ、残念なことに周囲よりほんの少し頭の良い私は優等生で模範生の彼を見つめるうちに彼の思考の危うさ過激さといったリスクを見出してしまい。彼とも話す機会が増え、ますますそれが確信溢れるものとなったとき、私がこの危険性に気づき恐怖と嫌悪を持っていることに彼が気づいてしまったら、もう彼といることはできないんじゃないかと思いまして。(なぜならば彼は私をそちらの世界に引き込もうとしているようで。)浅ましくも愛の解明などという馬鹿げたことに現を抜かす馬鹿になりきり心の内に隠したのです。おそらくそれはうまくいったようでこうして彼から勧誘を受けるに至っているのですーそしてこれは道を踏み出してしまったら死ぬまで彼と共につきまとうだろうリスクから臆病な私が目を反らすことにも役立っているのです。もちろん彼が私の手を引いたのも全てお見通しの上での行動かもしれません、それならばそれで私の浅ましさを受け入れて勧誘してくれることに自惚れることができて嬉しいのですが。ここまで振り返ってわかりましたが、やはり私が彼に向ける関心は愛のようでした、しかし未だこの溢れる謎のエネルギーについては究明解明できそうにないので、もう少し私は愛の究明者として馬鹿になりきることに専念しようと思います。








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