僕の気分は沈んでいる。過去の自分の愚かさはわかってたはず、だが改めて思い知らされた。



先日の話だ。不死鳥の騎士団本部にとある女性がやってきた。その人は、元々騎士団には入らず独自に死喰い人の調査をしていたらしい。そんな彼女が団員として活動に加わるようになったのは、唯一手を組み、情報を共有していたダンブルドアの一言だったようだ。そしてその女性こそがなまえだった。


とたん蘇る記憶、卒業前の確執。仲間と思っていた同寮生からの批難。時が記憶を薄れさせたとはいえ、忘れるはずもない。

当時の僕らはシリウスが言うように、皆馬鹿で傲慢で嫌なガキだった。今思えば彼女が悪戯仕掛人の行為に眉をひそめたのも尤もだ。僕も、やっとできた人狼である事を受け入れ付き合ってくれる友人、そして彼らの友人であるという僕自身の座を守る事に夢中すぎたように思える。

あの頃の自身を恥じているのは、シリウスも同じだ。僕らは学生時代の愚行を回想する度に、彼女への申し訳なさを懐かしさと共に感じるのだ。


とにかく、なまえが団員になると聞いて少しほっとした。あの時の事を謝ることができる、これは仲間となる彼女との間にしこりを残したままにしないためにも、僕らの心の安息にも必要なことだろう。そしてこの先、もしも無鉄砲で間違った行動をしてしまいそうになった時に、彼女ならきっと諭してくれる。

だが、当のなまえはすっかり変わっていた。彼女の信念、それは相変わらず確固たるものだった。では何が変わったか、他人に対する彼女である。

詫びる僕らに彼女が言った言葉。許しの言葉ではない。申し訳ないと、彼女が言ったのだ。生徒のエンターティナーを務めた素晴らしい僕らも(彼女がそう褒めた)、傲慢で横暴だった僕らも、全て含めて僕ら自身なのだから、恥じることはない。わたしが否定などしてはいけなかった。そう言ったのだ。

何が彼女を変えたのか。それは次の言葉で解決した。"ルーピンのおかげだよ、君の一言のおかげでわたしは押し付けがましい人間から卒業できたんだーーー"そう、僕だ。僕がなまえを、一切を受け入れるという形で他人に無関心にしてしまった。


ここにはもはやあの時の彼女はいない。全てを受け入れた彼女の中で、僕らはずっとあの時のガキのままだろうし、もしそのガキが馬鹿な行動を起こしたところで叱って止めることもないだろう。見捨てられた子供とは、正に今の僕のような心持ちなのだと思う。





リーマスとシリウスは長い月日の間に主人公を絶対視する傾向が出ています。彼女なら間違いを指摘し自分を正しい道へ導いてくれるだろうと。いろいろあった後ですから。


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