「レギュラス、レギュラス!見てこれ。今月のクィディッチ誌、シーカー特集よ。今シーズンの名場面が詳しく載ってるの」

「今日はハッフルパフとクィディッチの練習試合があるんだよ。絶対スニッチは渡さないわ!」

「やっぱりシーカーは花形ね、勝負の要。当たり負けしない為にもちゃんと身体を鍛えなきゃな」




なまえはクィディッチに目が無い。それは僕らが入学して、ホグワーツ特急のコンパートメントで出会った時からそうだった。2年生からクィディッチチームに入れると聞いた彼女が待ち遠しいと意気込んでいたのを未だに思い出せる。結局なまえがチームに名を連ねたのは3年生になってからだった。(そもそもチームの勝敗を左右するシーカーに2年生がなれる事自体稀なのだ。)そして僕がシーカーになったのもちょうどこの頃だ。僕らは特急で席を共にした縁もあって、スリザリンとレイブンクローに寮が別れてしまった後も一番に仲が良かった。僕が彼女に惹かれ始めるのにもそう長い時間はいらなかった。友情が愛情に変わった僕に生まれたのは、彼女に対する知識欲。何を好み、何を聴き、何を見て今を生きているのか、共有したい、願わくば彼女と同じ存在になりたい。なまえのことは全て知りつくしていたい。そうすることで僕は幸せでいられるのだと思う。誰だって好きな女の子のことを知りたがる、そうだろう、僕も例に漏れなかっただけのことだ。

なまえのことを知る、その第一歩、そして最も大きな一歩がクィディッチだ。なまえの大半を占めているのは前述の通りである。なまえは念願のレイブンクロー・チームのシーカーに、それに倣って僕はスリザリン・チームのシーカーになった。彼女との直接対戦は至極の喜びであり幸福であった。もちろん仲間とのゲーム、あの駆け引きと緊張感、スニッチを掴み勝利をものにした時の達成感は何物にも変え難いクィディッチの魅力である、が、いつだって原動力はなまえで、いくら励もうとも、どうも僕になまえのようなクィディッチ自身への情熱が湧くことはなかった。彼女の情熱をも共有したい僕としてはそれは困る。いつか彼女と同じ熱が芽生えるように、今日も練習を積み、腕を磨こうと思う。





(あのポッターと張り合える程度の技量はあるはずなのにな)



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