※カニバリズム
卒業後設定






意識を取り戻すと、新鮮な血の臭いが顔の周りをべたべた漂っていた。血に塗れるなんて常人には非日常で常軌を逸したイベントも満月の度に訪れるとあっては慣れたものだ。さて、人に見つかる前に例のごとく散らかしたであろう周りとこの血を片付けなきゃな。そう思って見渡したところで、目についた。なぜ気づかなかったのか。ここは僕の家だ。そして座り込む自分の目の前に転がるのは、いつものように獣ではない。人だ。身体はおよそ元の形を残していない。顔を拭う。真っ赤な血の被膜の下に見えたのは、見知った顔の見知らぬ表情だった。

「なまえ?」

どうやら狼の僕は君を食べていたようで。頭が働かない。でもどこか冷静な自分がいて。こんな突然の事態なのに心臓はまるでシーツにくるまれて寝ている時かのごとく静まりかえっていた。

ぐちゃ、

自分でもなんでこんなことをしたのか、気がしれないな。欲求通りに、狼の時からの一連の流れに身を任せたように、僕は彼女の肉に食いついた。腕、首、胸。食肉に適してそうな柔かな部位を見たてて噛み付いてみたけど、臭くて食べられそうにもない。不意に思い出した話、どこの本だったろうか。『人間は美味いのか?肉食であるネコは臭くて食えない。レストランにも出てこない。牛、豚、鳥も、美味い肉は全て草食動物。つまり結論、人間は肉を食べているからまずい。』なまえ、君も例に漏れなかったようだ。食べられたものじゃない。が、なんとかできないものか。

「そうだ」

食べられないなら食べれるよう味付けすればいいじゃないか。

「そうだそうだ」

ここは僕の家だ、キッチンに砂糖があったろう。袋ごとぶちまけてしまおう。うん、正解だ。柔らかくて甘い君の肉は絶品だよ、筆舌に尽くし難いね。君は確か僕に甘党だなんて言ったっけ。なるほど、僕はその通り甘党のようだ。君と飲んだ紅茶には角砂糖を5個はいれたっけ。呆れた目で僕を見る君はストレートだった。砂糖を好まなかった君だけどそれは間違いだったんじゃないかな、現に砂糖に塗れた君はこんなに美味しいよ。生きてる内からもっと採っていれば良かったのに。少しは違ったかも。んん?てことは、甘党の僕はそれはそれは美味しいんじゃないかな、肉よりチョコの方が好きだし。女の子のなまえと違って硬いかもしれないけど、きっとお菓子みたいな甘い香りと味がするに違いない。たべてみたいな。君にも食べてもらいたいな。ちょっとだけ味見してみよう。うん、予想通りだ、腕の肉は美味しいぞ!首はどうだろう。胸はどうだろう。美味しい!もうちょっと食べてみようか、美味しい、もう少しだけ・・・・・・








「なまえっ・・・リーマスっ!」
「・・・大方昨夜の満月のせいだろうが、なまえを巻き込んでしまったか。リーマス自身も傷つきすぎてしまったようだね・・・」
「ジェームズ、この白い粉は?」
「砂糖?なんでこんなところに・・・」









途中の話はJOJOのミスタ
最後のはシリウスとジェームズ




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