これからどうしようか躊躇うわたしに、臨也さんは「おいで」と言って両手を広げた。
わたしには臨也さんの胸に飛び込まない理由がない。
わたしはおそるおそる臨也さんの側まで行って抱き締められるのを待ったけれど、臨也さんはそんなわたしに気付いたからか、わたしを抱き締めようとはしてくれなかった。
わたしが顔を上げて臨也さんを見ると、いつもの顔で笑っていた。うざい。
それでも、何故だかわからないけど臨也さんを抱き締めたくなった。
ぎゅっと抱きついたわたしに一瞬驚いた顔をしてから、臨也さんの腕はわたしの背中に回わった。
「とりあえず、そうだな…」
「なに?」
「キスする前に本当の名前でも聞こうかな」
「…名前、つけてくれるんじゃなかったの?」
「君の名前が知りたくなった」
いつもとは違う優しい顔でわたしを見つめる臨也さんはわたしの口元まで顔を近づけてから、わたしの唇に耳を寄せた。
その耳に、わたしはゆっくりと自分の名前を囁く。
満足そうな臨也さんの目線と、恥ずかしがるわたしの目線が絡み合って、混ざった。
ああ、これが幸せか。
わたしは臨也さんが頭の中で何を考えているかなんて知らずに、一人で幸せに浸りながら臨也さんが与えてくれるあたたかさに酔しれていた。
つ め た い ひ ふ君が人間じゃないなんて知ってたよ。君が人間だったとしたら誰かから捜索願が出される。それにあんなに冷たい手をしている人間はいないからね。あと、君は言葉を噛まないのに一回だけ噛んだことがあるんだよ、気づいてた?それに俺は情報屋だ。全部知ってるよ。愛しくて仕方ないから名前でも呼んであげようかな。ファンデーションで誤魔化しているけれど本当の肌は真っ白で噛むとおいしいんだろうな。ああ楽しみだ…でも、君には一生言ってあげないけど。人間より愛してるなんて
100311
:-)recycle
人間を愛する男の子
×
人間じゃない女の子
という、アンドロイド的な…いや何て言うんだろう…とりあえず人間じゃない人工知能的なものにしたかったです。
微妙だからボツ設定にしようかと思ったけど捜索願の類いを誤魔化すためにまた復活させた設定です。
臨也が情報屋だってことは死ぬまで知らないといい。
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