よくテレビで見たことがある人に出会うと、この人テレビと同じだ!と感動することがある。今この瞬間がまさにそんな感じだ。

わたしはうざ…臨也さんの前に立っている首なしライダーさんに手を差し出してから落ち着かないまま言葉を発していた。


「あの、ファンです!どのくらいファンなのかというと、えっと…いや、小さな想いではなくて…あの、感動しすぎて言葉が繋げられないくらいファンです!」


わたしがあと三分くらい息を続けながら一気に言ったところで、首なしライダーさんのヘルメットの奥で感情が浮かび上がることはなかった。首なしだから当たり前だけれど。

わたしが首なしライダーさんとPDAで話していると、臨也さんは「じゃあ仕事よろしね」と言いながら首なしライダーさん…セルティさんを部屋から追い出してしまった。


「ひとりぼっちが寂しかったからって、そういう子供っぽいことしないで下さい」

「…可笑しいことばっかり言うねえ、君は」

「図星すぎて何も言えませんか。そうですか」


わたしはいつもの調子で臨也さんと会話しているつもりだった。
でも、いつもは苦笑しながらわたしの対応をしている臨也さんが、今日は笑っていなかった。





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