今日も臨也さんの家にはお客さんが来る。

臨也さんの家に来てから随分経った気がするけれど、わたしは臨也さんの職業を知らない。
別に何の仕事をしているかなんて聞いたところでわたしには次元の違うことなのだろうし、仕事を聞いたら負けな気がしてずっと聞けなかった。

訪ねてくる人が女の人より男の人の方が多いから、多分IT関係とか何だろう。
でもIT関係にしてはパソコンの数が少ないし、IT関係にしては語彙力がありすぎるし、IT関係にしては若すぎる。

わたしがぼんやりとそんなことを考えていると、臨也さんは仕事部屋みたいなパソコンがある部屋にわたしを手招きした。


「ちょっと来て」


臨也さんの仕草が少し可愛いなあなんて思いながら、わたしがその部屋に入れるのは来客数が減る夜なのに、今日は夕方に呼ばれて驚いた。

そして、臨也さんの前にいた陰にも驚いた。


「首なしライダーさんですか?」

「そう、首なしライダー…運び屋のセルティだ」

「いや、うざやさんには聞いてませんから少し黙ってて下さい」


独特な雰囲気を持つ首なしライダーに、わたしは恐怖より喜びを感じた。

テレビで見たことのある、あの首なしライダーがわたしの目の前にいる。





[] | []


- ナノ -