広すぎる折原さんの家の中をぐるりと一周してから、だいたいのことはわかった。
わかったことは、今現在絶対に確実に地球に火星が衝突しようと折原さんに彼女がいないこと。意外と綺麗好きということ。布団が二枚常備されているのでここに泊まりに来る人が少なくとも二人居るということ。
そして、ホストではないということ。
「折原臨也さん。一つだけ質問があるんですけど…」
「臨也さんでいい」
「…臨也さんは何歳ですか?」
「21」
「21歳?21歳なんですか?21歳って言ったらあれですよね、普通世間一般でいったら大学三年か四年ってことですよね。それなのにこんなに大きいマンションに一人で住んでいるなんておかしいし、親が金持ちでその親に自由にお金を使っていいのよなんて言われて生きてきた人には見えない。例えるなら地球が高速で逆回転するくらいあり得ない確率だと思うの」
「……」
「もしかして21歳というのは、特にアイドルや歳が少しいったお母さんとかなんかが一般的に使う、わたしは永遠の18歳よ。のような使い方をする永遠の21歳という意味なんですか?いや、いくらなんでもそんな乙女チックなことをする人には見えないから違うと思いますが……あ、他人に歳を聞いた上に失礼なことを言ってすみませんでした」
「…どうしたの」
「真似しただけ。特に意味はないから是非忘れて下さい」
わたしは急に恥ずかしくなってうつむいた。
折原さん…いや、臨也さんはこんなに酸欠になるようなことをポンポン言っているのかと思うとおぞましい。まあ、わたしも言えたけど。
わたしは3分後に、苦い苦いコーヒーでのどのイガイガを悪化させる自分を知らない。
わたしは5分後に、臨也さんが時間差で狂ったように笑い出すことをまだ知らない。
ふ せ た ま ぶ た長いまつげに見蕩れていた
100307
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