ここまでの会話でわかったこと。
それは、折原さんという人は人間の生態を研究しているわけでもなく、心理学を勉強しているわけでもなく、ただ人間が好きということ。

わたしはマグカップを置いて、一応返答する。


「わたしって面白いの?褒められてる気がしない」

「だって褒めてないもん」

「面白い、って褒め言葉じゃないの?」

「厭味だよ、イ・ヤ・ミ」

「…あっそ」

「言葉って人を殺せるくらいの力を持っている凶器だからね。君はまだよく知らないだろうけど俺のペットなんだから一応ここにいるわけだし、色々な人がここには来るしね。その内わかるんじゃない?」


なんとも意味深なことをぶつぶつ話す折原さんに、わたしは二つの感情以外何も感じなかった。

一つ目は、うざい。
二つ目は、かわいそう。

何だか知らないけれど、ひじ掛け椅子に座りながらくるくると回るその姿とさっきの言葉遣いがすごくうざくて。いや、一応主人だからうざいなんて言ってはいけないと思うけれど…こればかりは仕方ない。


どこか陰がある折原臨也という人間のことが大好きな人間は、わたしの主人になった。

わたしは退屈だったから死のうと思っていたわけで、この折原臨也という人間のことは嫌いじゃない。

嫌いじゃないものを発見できたから、もう少しこの地球にごろごろ転がっている生命体としてここに居ようかなと思った。





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