がらくた | ナノ

「うげッ」
「なんですかその嬉しそうな顔は」
「…この顔が嬉しそうに見えるとは、アンタは目も虚無界に置いてきたんですか」
「おや、私に会えて嬉しくないんですか?」
「最高に気分が悪いです」
「それは結構」
不気味に笑うピエロ。こいつはただの悪魔ではない。わたしの大嫌いな悪魔だ。
「で、何の用ですかフェレス卿」
「用もなくアナタに会いに来てはいけませんか?」
「はぁ?」
「私はただアナタの顔が見たくて来たんですよ」
「……、ならもう良いでしょう。顔見れたんですからとっとと帰りやがってくださいよ」
「上司に対しての敬語がなってませんねぇ」
「悪魔を敬えっていうの?」
「いえいえ、そんなことは言ってませんよ」
「…、!」
ピエロがいきなり距離をつめてきて、わたしの顎をつかんだ。
「ただ、躾がなっていないようなら私が…」
「ッ触るな…!」
「おっと。…まったく、なまえは手が早いから困る」
「名前で呼ぶな」
「すみません…ネ?」
「ウインクするな、二度と来るなこの…ッ」
「悪魔が、…ですか?」
「…分かってるなら早く帰ってくださいよ」
「はいはい。承知しましたよ」
ではまたお元気で、と語尾に星が付きそうなくらいご機嫌な声色。こっちは超不機嫌だ。



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