がらくた | ナノ

待って、というわたしの制止の声も聞かずその拳は容赦なく振り下ろされた。
「い、痛い…」
「自業自得やろ」
「加減くらいしてよ」
「したで?」
「うそだ」
「ほんと」
ていうかなにも拳骨まですることないじゃないか。ちょっと勝手に柔造の部屋に入っただけなのにさ。眉間に皺を寄せているのを見るあたり、これは部屋に見られてはいけないものがあったと見えるぞ。
「柔造なんか隠してるんじゃない?」
「! は、はぁ!?お前はなにを疑ってんねや…」
「いや、べっつにー?」
「オイ。なんやそのにやけ顔」
「なんでもないよー?」
思春期のオトコノコが持ってるあの本やそういうDVDを隠し持ってるな、柔造め。よし、金造くんに言いつけて調べてもらおう!
「なんや変なこと考えてるやろ…」
「え?なにも考えてない…痛ッ…イタタタタ!!痛いよ柔造!」
「なんか腹立ったわ」
「い!?は、腹立ったからって頭ぐりぐりは痛いですからああああ!!」



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