がらくた | ナノ

「つかれたよ、土井さん」
「あと少しだけやから、気張りなさい、ね?なまえ」
「うう、…はーい」
「…少しだけ、休みますか」
「土井さん…!」
「そないに目をキラキラ輝かせんでください」
「土井さんは女神でしたか!」
「違います」

「京都にくるたび土井さんに会いますね、私」
「…あなたがいつまで経っても道を覚えてくれへんからでしょう」
「あはは、そうでしたっけ?」
「そうです」
「いやはや、京都って広いですもんねぇ…すぐには覚えられそうにないですよー」
「まったく、……まあ任務はいつも完璧ですから許せるんやけど、ねぇ」
「土井さんはなんでこんな私が祓魔師になれたか、不思議なんでしたっけ?」
「はい、本当に不思議です」
「単独行動をさせたら合流場所に絶対ひとりで来れない、なんて酷いやないですか」
「ははは…」


「さて、行きますか」
「はい」
「そういえば、今日は誰との任務で…?」
「志摩の柔造さんですよ」
「ああ、あの人やったら任せても大丈夫そうや」
「…土井さんは私の保護者みたいですね」
「嬉しくないです」
「うそですよー。どちらかと言えば、土井さんは彼氏にしたいくらい素敵ですしね」
「…私、なまえにだけは適わんみたいですわ」
「? いま何か、」
「なんも言うてません」



110723
京都出張所の土井さん