がらくた | ナノ

「ゆきお」
「はい」
「もー、無理」
「…さて続きやりましょうか」
ゆきおの眼鏡が光った気がします。やだ、もうやだ。勉強なんてやってられません!しかもゆきおスパルタすぎるよ!
「うああああ!もう!や!」
「なまえ」
「む」
低い声で名前を呼ばれ固まる。
「頑張りましょう、ね?」
ね?と言ってわたしを見る目に光はなかった気がする。眼鏡越しでも分かったぞ。
「ういっす…」
「ゆ、雪男こえー」
机の上のプリントに視線を戻そうとした時、よく知ってる声が聞こえた。ばっと勢いよくその方向をみる。
「りん!」
「明日テストだっけか?」
まるで他人事みたいにりんは言った。
「うん、りんもね」
「へ?」
「りんもね」
「あ」
「兄さん…」
「りん…」
……この顔は完全に忘れてたって顔だ。
「や、お、おれは余裕だ、し、な!」
「「嘘だ」」
ゆきおと声が重なる。
「うっ!」
「りーん、一緒に勉強やろっかー」
「兄さん、ほらここ座って」
「おいでーりーん」
「だあああ!おれ勉強したくねええー!」
うん、わたしもしたくない!そんで眠い!けどきっと寝ようとしたらゆきおの怒号が飛んでくるよね。ああこわい。



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