がらくた | ナノ

わたしは無類の猫好きだ。ということを志摩くんにカミングアウトした。…そうしたら、三輪くんの名前を本人に聞いてくるように言われた。というわけで、いざ参ろう。
「三輪くん三輪くん」
「はい」
「三輪くんの下の名前おしえてください」
「子猫丸、です」
「こねこまる……」
「…あの、どうかし、」
「…ねこ…さん…」
「ひっ」
ぎゅううう、と子猫丸くんの手をにぎる。だってだって!みわ、こねこまるくん…か、かわいすぎる…!
「嫁に来てください!」
「お断わりします!」
ばっさり即答。
「い、いきなりなにを言いだすんですか…」
「猫さん、好きだから…」
「!」
「にゃんにゃん可愛いですもん柔らかくてふさふさで…もうすりすりされたらたまんないですもん…!」
「う、…分かりますけど」
「そっか、そうだったんですかー、…なるほど納得」
志摩くんが聞いてくるように言ったのは名前が子猫丸くんで、わたしと同じ猫好きだからってことね。なるほどなるほど。
「しかし可愛いなぁ」
「…か、可愛いって…」
「これからは子猫丸くんって呼んでもいい?」
もう心の中では呼んでますけど。一応、許可がほしいです。どきどきしながら訊ねてみる。
「ぼ、ぼくもなまえさんって呼びますから…、子猫丸って呼んでくれてええですよ」
子猫丸くんは照れ笑いをしながらそう答えてくれた。……猫はやっぱり可愛いです。そんな可愛い子猫丸くんに、わたしからひとつお願いを。

「な、なでなでさせてくださ」
「あきません」
「……む」
「そんな顔したってあかんもんはあきませんから、ね!」
「うーん、まあ…子猫丸くんが言うなら仕方ないか」
へらりと笑ってごめんね、と言う。しかし、わたしは諦めたわけではない。なでなではもちろん、ごろごろ、そして猫さんを嫁にもらうのも。



110521