「やあやあ奥村くん」
「…おうなまえ」
「あれ？なんか不機嫌？また雪男くんとケンカでもしたのかなー」
「ケンカはしてねぇけど」
「？」
頬をふくらませて眉に皺を寄せた奥村くんはきょろきょろと落ち着かない様子で目を泳がせている。
「な、なんで雪男は雪男で俺は奥村くんなんだよ…」
「！　なーんだ、そんなことか。志摩がそう呼んでたから、私も奥村くんて呼んでみた」
それだけだよ。と言えば奥村くんはさらに皺を寄せ、なにかをぶつぶつと呟いた。
「（志摩ちくしょう…あとで覚えてろよ…）」
「あー、えっと、…燐？」
「！」
あ、なんかうれしそうかも。奥村く……燐の眉間の皺が、消えた。



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