がらくた | ナノ

「ずるい…」
「?」
「わたし柔兄の妹に、なりたかった…」
「…なんでそう思うんや?」
「だって、廉ちゃんは小さい頃からずっと柔兄と一緒だったんでしょ?」
「まあ、兄弟やしな」
「柔兄に面倒見てもらったりしてたんでしょ?うらやましい…」
「おま、…なまえ…」
「金ちゃんだってそうだ…」

ずるいよ。そうつぶやくと柔兄はうーんと唸って一言。

「…俺は嫌やなぁ」
「え!?」

柔兄の一言にずきりと胸が痛くなる。嫌、ってわたしが妹になるのがってこと、だよね?ずきずきずきずき、

「なまえが妹やったら結婚できへんやん」
「え、えっ…?」

けっこん?って、結婚……?どきどきどきどき、
心臓がうるさい。うるさい。しずまれ。しずまれ。

「これから先ずっと俺がなまえの面倒見たる」
「じゅ、柔に、」
「廉造と金造とは比べられへんくらい、ずっと」
「え、と…」
「…あかん?」
「ま、っ!」
「嫌か?」
「いいいい嫌なわけ、なな、な、いけ…ど…」

それじゃあまるでプロポーズみたいだよ柔兄。
素直に思ったことを告げると柔兄は間の抜けた顔をして、ぶはっと吹き出した。

「お前は阿呆か!」
「へ…?」
「プロポーズ、してんねん」
「え…!」

プロポーズ、してる?いま、柔兄はそう言ったのだろうか。妹だったから結婚できない云々って、もしかして、そういう意味だったり、するのか、な。いや、けど、まだ分からないぞ…!

「だ、誰が誰に、してる、の?」
「はぁ?何をや?」
「ぷ、プロポーズ…」
「…俺がお前に。志摩柔造がなまえにプロポーズしてるんや」

こう言えば分かるか?
柔兄はにっこり笑いながらわたしを見た。ちょっと、待って。ついていけない。



110503