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「奥村せんせい、しんどくない?」
「………はい?」


わたしと同い年のはずなんだけど先生とかやってて悪魔やっつけるエクソシストとしての仕事やってて、それとは別にちゃんと学業も頑張ってて、疲れたりしないの?

みんなが帰ったあとに、奥村雪男にそんな疑問を投げかけてみた。

わたしは正直、絶対エクソシストになってやる!なんて目標があるわけじゃなくただなんとなくこの祓魔塾に通っている。勝呂あたりが知ったら怒鳴られそうだな。いや、もう感付かれているだろうけど。


「し、しんど…、どういう意味ですか…?」
「や、その、いろいろと疲れたりしないっていう…」
「あぁ。そうじゃなくて、どうして…いきなりそんなことを?」
「どうしてって、」
「?」
「……そりゃ、君に興味があるから、だよ」
「え、!」


奥村先生の様子がおかしい。どこか慌てているような気がする。あわあわ。わたわた。…そんな感じだ。


「疲れませんよ…」
「…」
「…と言えば嘘になります、ね」


頬をかいて苦笑。あ、なんかそういう顔はじめてみました。年相応って感じがしますね、なんて思ったが声には出さなかった。
なんとなく、その言葉が奥村先生を困らせてしまうような気がしたから。


「やっぱり疲れるんですね」
「僕はもう慣れましたけどね」
「そういうのに慣れるって嫌じゃないですか?」
「そ、れは…」
「そんな奥村先生に魔法をかけてあげましょう」
「は、はい?ま、まほ、」


ちちんぷいぷい!
その疲れをわたしも半分頂きましょう。悩める先生に幸あれ。

ツン、と奥村先生の額に人差し指をあてて唱える。


「!?」
「どう、ですか…」
「こ、れは…!」
「いやあしんどい。実にしんどい。奥村先生の疲れは半分でこれですか?」


今までよく平気でしたね、と言うも奥村先生の耳には届いていないようだ。顔を赤くして心臓のあたりに手をあて口を開けたまま呆然としている。
…これは、放っておいたほうがいいのかな。わたしはそのまま教室を出ようと立ち上がると同時に腕をつかまれた。


「名字、さ、ん」
「む…?」
「あ、ッ…」
「…」
「ま、魔法、すごく効きました。あ、りがとう、ございます、!」
「どういたしまして、先生」



:奥村先生と魔法
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