廉造のつまさき | ナノ
※中学生設定
なあなあ、という志摩の声が聞こえたので小さく何?と返す。
「これストーカーやンゴッ?!」
「うるさい黙れエロ魔人」
「……容赦ないなあ」
「はいはい」
志摩が禁句ワードを発したので頭をグーで思いきり殴ってやった。えーんお嬢ちゃんのいじわる〜なんて、分かりやすい嘘泣きをした志摩のシャツをくいくいと引っ張る。
「なんや?」
「前出すぎ声大きすぎ、バレるじゃん」
「ええやんバレてムゴッ!?」
今度を志摩をぐんっと後ろに思いきり引っ張った。そのまま志摩は地面に尻餅をつく。酷いわあ、と言いながら立ち上がる志摩をぎっと睨みながらも手を貸す。そして視線を元に……あ、れ?
「志摩……」
「も、もう暴力は勘弁し…」
「見失った」
「え」
「勝呂、見失った」
「えええ」
いつのまに?何処行ったん!?ときょろきょろ辺りを見回してぎゃーぎゃー騒ぐ志摩に誰のせいだ、と言いたくなったが…これはわたしの不注意だ。見失うなんて、悔しい。
「この時間って人結構多いで?」
「見つけにくい、よね」
「……お嬢〜俺エエこと思いついたで」
「…言うだけ言ってみて」
「坊のことはもう諦めて今から俺とデートとかど」
「却下」
「お嬢のケチ」
「うっさいピンク」
「ぴ、ピンクて…髪の色だけやん…」
頭もでしょ?と返せばあっ否定でけへんわ、と言って志摩が笑う。やけにご機嫌だな、こっちは勝呂を見失って超不機嫌だっていうのに…むかつく。
「なんで髪染めたわけ」
「え?」
「なんで」
「…ぼ、坊が染めたん見て、ええなあって…」
「ふーん?」
「?」
「ピンクはむかつく、前の方が良かったよ志摩は」
「えっ!」
前からクラスで女子に好かれていた志摩だけど、髪を染めてからはもっと…好かれているというかなんというか…。教室で視界に入ってくる志摩はいつも女の子と一緒で、なんか見ていていらいらするのだ。勝呂が染めたのは素敵だからいいけど志摩のはただただむかつく。
「ほ、ほんまに?黒に染め直そかなぁ…」
「まあどっちでもいいけど」
「えー」
「まあいいや、勝呂探そ」
「お嬢はほんまに坊大好きやなあ」
「……うん」
「坊のこと諦めついたら俺んとこ来てな?」
「絶対ないから安心して」
「俺はずーっと待ってるで」
「はいはい」
:もしも中学時代の途中に勝呂と志摩が髪を染めてたら
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