火星の声が聞こえるのは?ボニー・メリディアニ!この時間がやってきました、DJアシラです。

火星が地球の隣というのは周知の事実。ですが太陽系の惑星の並び順はご存知ですか?水・金・地・火・木・土・天・海・冥…もう冥王星は準惑星に降格されてしまいましたが、太陽を中心にしてこう廻っています。

そう、火星の隣は木星。木星はとても大きいですよね。地球2、3個分の大きさの嵐がちょっとしたシミのように渦巻いている景観がその大きさを物語っています。

水・金・地・火までは小惑星が衝突を繰り返して惑星となりました。ですが木星はガス惑星。ガスでできているんです。その重力は強大で小惑星の軌道を掻き乱し大きな惑星となることを妨げました。なので火星と木星の間には小惑星帯という、小惑星の軌道が集中している領域があるんですよ。宇宙って面白いですね。

さて。これからご紹介するのはビリー・ジョエルのやさしいバラード、素顔のままで。懐かしい方もいらっしゃるんではないでしょうか。もしも歌詞の内容をわからずに聞いていたのならもったいないかも。言われてみたい素敵な愛の言葉の数々。どうぞその目と耳とで味わってみてください。



素顔のままで


変わろうとしないで、そうして僕を喜ばせないで
君は一度だって僕をがっかりさせはしなかったんだ
親しすぎるかもとしれないとか飽きられてしまうとか
そんな風に想像しないで
何があっても君から離れはしないよ
僕たちはこうしてここまで来られたじゃないか
素敵な時を君と過ごせた、もしもつらい時が訪れても
僕はそのままの君といたい

自分を飾らないで
別の色に染まらないで
君は言葉にできない魅力を持っているんだよ
僕はそう君に伝えなかったかもしれないけれど

気のきいた話なんていらない
そんな気遣いなんて求めていないよ
ただ僕は話し相手がほしいんだ
そのままの君がほしい

僕はそのままの君でいてくれるかどうかが知りたい
僕の知っている君のままで僕と過ごしてくれるかどうか
どうすれば僕が君を信じるように
君も僕に心を許してくれるのだろう

君に好きだと言ったこと、それはずっと変わらないよ
心から誓える
これ以上愛せないくらい
そのままの君が好きなんだ



つたう


僕は世界を諦めたかった。手の届かないものに手を伸ばすよりも、背を向けて膝を抱えて、自分のなかの補完された場所に生きてゆきたかった。知らず識らずそんな距離感を大事にして、わかったように頷いて、自分が傷つかないように一歩、後ろに下がる。そうすると、まるで世界が他人事のように見えた。目の前を過ぎてゆく影がにじむ。それを見送る傍観者の僕。境界線の外では誰も僕のことを傷つけない。

そう思っていた。

「僕はシンジ君のそういう考えは嫌いだよ」

嫌い。突然、カヲル君はそう口にした。僕が唯一安心できる友達が、不意打ちに僕の心臓にナイフを刺す。血がどくどく流れるように心臓が早くなる。ここは一体どこだろう。僕は迷子になってしまったのだろうか。

カヲル君の言っていることがわからなかった。ただ、何かに対してすごく抗っている彼を僕は見つめていた。目の前で、カヲル君は必死になって言葉をつなぐ。だから僕はちゃんと聞こうとした。半分夢を見ている気分で。でも、彼は僕の知らない言語を使っているよう。僕たちは決して越えられない壁のある向かい合わせの国に住んでいるみたい。カヲル君が近いのに遠くに見える。寂しいくらい、遠かった。

何をそんなに怒っているんだろう。カヲル君は語り続ける。何も言わずにただ耳を傾ける僕のなか、ふつふつと、沸き起こる。違う、そうじゃない。僕は顔をしかめる。君の言っていることはきれいごとだよ。そう、喉元まで感情が込み上げてくる。勝手に怒って僕のなかを土足で踏み散らすなんて。僕は手のひらを握り締めた。

「僕はそうは思わない」

我慢できずにそう呟くと涙がこぼれた。止められなかった。悔しい。感傷的になっても何の意味もない。面倒くさいだけなのに。僕たちはこのまま喧嘩別れしてしまうのかもしれない。そうなったら、僕はまた大切なものを失うことになる。けれど、それはいつだって突然で、どうしようもなくて、仕方のないこと。だから僕は受け入れよう。僕だって、わけのわからないひとは嫌いなんだ。

「君の意見を押しつけないでよ」

涙をこぼしながらぽつりぽつりと静かに反論する僕に、カヲル君は顔を歪めた。そして、驚いたことに、

「僕は君が大切だから、言っているんだ」

そう言って、カヲル君は涙を流した。心が痛そうな顔をしている。君から始めたことなのに。

「思っていることをちゃんと言わないと、後悔してしまうだろうから」

なんで泣いているんだろう。僕はカヲル君を見つめた。

ああ、もしかして。僕の体がふわっと浮く。嫌いって言葉はわざとだったのかもしれない。ずっと言いたかったことを言うために、必要だったのかもしれない。

「君に伝わらないかもしれないけれど」

僕には、僕のために本気で怒って本気で泣いてくれる友達がいるのかもしれない。こんな僕にも、いつの間にかそんな奇跡が側にあったのかもしれない。

「正しいと決めつけないでほしい」

カヲル君は涙を隠さず僕をまっすぐ見つめていた。まるで僕のためにという口ぶりだった。ざわつく胸。僕はいきなり自分にも体温があることを思い知らされたようで困惑した。

「君だって、正しいって決めつけてるじゃないか」

きっとそれは感謝すべきことなのだろう。でも僕はそれすら心から思えないんだ。眩しさに目を逸らす。

もう、そういうのは嫌なんだ。僕は思う。本気で怒ったり泣いたり、疲れるだけじゃないか。当たり障りないのがいいんだ。微熱で寝込むような僕には、体温を感じないくらいのぬるま湯がいい。それなのに。

「諦めないでほしい」

カヲル君は僕を火傷させた。

「僕は、別に、諦めてない」

僕にどしゃぶりの雨を降らせた。

ねえ、やっぱり君が間違っているよ。僕には僕の正しさが、君には君の正しさがある。それは別になんも悪いことじゃない。だからいいじゃないか。そんなに熱くならなくても。僕にどうしてほしいの。君は僕に何を期待しているの。

カヲル君はただ、僕に諦めないでと言い続けた。僕には理解ができなかった。いつどこで、何に対して僕が諦めたというのか。僕が誤解を解こうと言葉を続けたらカヲル君はもどかしそうにまた、怒った。ああ、わけがわからない。

「シンジ君、」

カヲル君、

「諦めないで…」

君がわからないよ。

でも、どうしてだろう。ただ、感じるんだ。カヲル君は僕に何か大事なことを伝えようとしている。僕のことをひたすら想って涙を流してくれている。

言葉は難しくてこんなにすれ違っているのに、気持ちだけが先に心に届いていた。それはとても不思議だった。君の見えない手が、僕の心に触れているような気がしたんだ。だから僕は、揺れてしまう。

僕はどうするべきなんだろう。僕は立ち尽くす。違う、もうひとりの僕が言う。僕はどうしたいんだろう。僕は、僕は。傍観者でいたかった僕は、いつの間にかカヲル君のせいでこの世界の主人公になっていた。

「僕は…」

一歩も下がれない僕の血管を流れてゆく、世界。体中に、痛みを知らせる。痛みは僕に教えるんだ。

「まだ、諦めてない」

この世界で生きているって。

僕たちはお互いにぐしゃぐしゃで、結局は意思の疎通がとれずに、何もわかり合えなかった。でも、カヲル君は僕を見つめて微笑んだ。僕の見えない手も、彼の心に触れたのだろうか。よくわからない。でも、カヲル君が笑うと、僕は嬉しい。僕がそうして笑い返すと、

「君を傷つけたなら、ごめん」

カヲル君は僕の最後の涙を指先ですくった。

「ありがとう」

とてもやさしい声だった。

きっとその言葉を僕も返すべきだったのかもしれない。でも僕は、今起こったことをちゃんとわからずに君に何かを伝えることはしたくなかった。やるべきことだからという理由でしたくはなかった。

カヲル君が僕に伝えたかったこと。いつか僕はそれをちゃんと理解できるだろうか。やっぱり僕のことを彼が理解する日が来るのだろうか。

でも。僕は心の片隅で想う。僕が間違っていて、君が正しかったなら。この世界はきっと君のやさしさでいっぱいになる。そんな気がする。そうだったらいいな。そう胸に描く僕は、君が嫌いと口にする前の僕とは少し違っていた。



お送りしたのはBilly joelのJust the way you areでした。このタイトルの楽曲はよく見かけますがどれも素敵なものばかり。そのままの君でいて、そう言ってくれるひとが世界にひとりでもいてくれたら。私達は自分を今よりもっと好きになれる。そう思いませんか?

私はずっと火星人の友達がほしいんですが未だに見つかりません。もう故郷を離れた孤独には慣れましたが、たまに人肌恋しい時に火星人がこのドアをノックしてくれたらと思います。そこにはきっと私のまだ知らない喜びがある、そんな気がするのです。

地球のみなさんは「そのままの君でいて」と伝えたい誰かはいますか?もしもそうならその時はテレパシーではなくちゃんと言葉で伝えましょう。A10神経はきっとそのためにあります。そして余った感性で火星にヘルツを合わせてくださいね。いつだって私はここであなたを待っています。

それでは次回をお楽しみに。


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