フルーティなお題 | ナノ




食後のまったりな時間。
今日は珍しくお笑い番組を見ていた。

『そんなバナナなんてことあるかー!』

突っ込みがボケに対して何らかのアクションを起こす。
そのやり取りにヤナップもヒヨリも笑いが止まらなかった。

「そんなバナナかぁ・・・。ちょっと使ってみようかな」
「ナップ?」

そんな声を漏らしたヒヨリの横で、ヤナップは首を傾げるのだった。



そんなバナナ、なんて嘘



今日はノボリの家でお泊り。
週末は大体ノボリの家で過ごすことが多くなったヒヨリとヤナップ。
ノボリはそんな2人の為に部屋まで作ってくれた。いつでも来て良いですよ、と合鍵も渡してある。
だが、2人で行動することが多かったため、その合鍵は使うことは滅多にないが。
着替えも自分の家とノボリの家にと半分ずつ置いてあったりする。
なので、泊まるときは身体だけを持って来れば良いというわけだ。

食事も終わり、お風呂が沸くまでのこの時間。
ヤナップとシャンデラは一緒になってテレビを見て、
ヒヨリもノボリとソファに座って2匹の後ろからテレビを見ていた。
ソファに座るときにノボリがヒヨリを膝の上に乗せて座るのはもはや日課だったりする。

ぎゅ、とヒヨリを抱きしめて耳元で囁いた。

「ヒヨリ、好きですよ」
「そんなバナナ」
「・・・はい?」

いつもなら「私も」と言って、顔を赤らめるのに。
そんなバナナ、なんてどういう事なのだろうか。
ノボリは驚いて目を点にした。

「昨日、お笑い番組しててね、そんなネタがあったから言ってみたかっただけだよ」
「ああ、そう言うことですか。ですがなんでまたそんなバナナなのですか・・・?」
「言った事に対してそんなバナナって突っ込んでたから・・・。ちょっと使ってみたくて」
「そう言うことですか。ですがヒヨリ。わたくしがあなたを好きなのは本当で御座いますからね」
「わ、わかってるよっ・・・!」

好きだと言えば赤くなる。いつものヒヨリの反応だ。
ノボリはこの反応がとても好きで。
頬に手を伸ばして滑らせる。唇に親指を押し当てれば愛しそうに目を細めた。

「ヒヨリ、好きで御座いますよ・・・」

そう言えば、ゆっくりとヒヨリの顔に自分の顔を近づけていく。
ヒヨリもまた、目を閉じてノボリのキスを受け入れようとするのだった。


[TOP]


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -