フルーティなお題 | ナノ






恋はイチゴのほうに甘酸っぱい



「ヤナップ、もうすぐクッキーできるからね」
「ナァップ!」

僕はヤナップ。
横にいるヒヨリのパートナーポケモンとして傍にいる。

僕はヒヨリにとっても大事にされている。
それがよくわかるからうれしい。

匂いに誘われて一人の男がやってきた。

「良いにおいがしてきますね」
「ノボリさん」

この人はノボリ。
ヒヨリが働く売店がある地下鉄のサブウェイマスターさんらしい。
僕はヒヨリと同じくらいノボリが大好き。

だって、ノボリは僕とヒヨリをまた廻り遇わせてくれた人だから。
僕ね、この2人がとっても仲良くしてるところが好き。

その中に僕やシャンデラお姉ちゃんがいてみんなで笑いあうのがすごく好き。

ヒヨリが鉄板を持って、リビングのテーブルの上まで歩いてくる。
僕はスキップ足でヒヨリに近づいた。

「ナップ、ナップ!」
「ヤナップ、あんまりはしゃがなくてもクッキーは逃げないから」

だって嬉しいんだもん。
ヒヨリの焼くクッキー、すごくおいしいから。
嬉しそうに舞い上がっていたら、ヒヨリの小さな悲鳴が聞こえた。

「きゃっ!」
「ヒヨリ!」
「ヤナナ!?」

驚いてヒヨリを見た。
ヒヨリは床に滑って転びそうになっていた。
それをキャッチしたのはノボリ。
なんかすごくかっこいい。

滑ったことにより、大好きなクッキーが鉄板から飛び出て宙を舞う。

それをキャッチしたのは、シャンデラお姉ちゃんのサイコキネシス。
サイコキネシスがクッキーをキャッチして、鉄板へと戻っていく。

「ありがとう、ノボリさん」

ヒヨリが顔を赤らめてノボリにお礼を言った。
ノボリは僕に少しだけ鋭い視線を向けた。

「ヤナップ、気を付けてください」
「ナップぅ・・・」

ノボリに怒られちゃった。
そりゃそうか。ヒヨリに怪我させようとしちゃったんだから。
僕はショボンだ。

「もう、ノボリさん。ヤナップをあんまり怒らないであげて」
「しかし・・・」
「ヤナップは私の焼くクッキーが楽しみだったんだよ。嬉しくてつい舞い上がっちゃったんだよね」

鉄板をテーブルの上に置いて、僕と視線を合わせるためにしゃがみこんで。
ヒヨリは微笑んで僕の頭を撫でてくれた。僕の気持ちを考えてくれる。
それがすごく嬉しいんだ。

「ナァップ!」
「ヤナップ、申し訳ございません・・・」

ノボリが謝った。でも、僕も悪いんだもん。
大好きなヒヨリに怪我させちゃうところだったんだから。
僕はノボリに思い切り抱き着いた。

「おっと」

ノボリは嬉しそうに僕を抱き留めてくれる。
それはヒヨリも同じだから。

僕はノボリを見上げた。
ヒヨリが横で笑いかけてくれる。

僕はヒヨリのこの笑いかけてくれる笑顔が大好き。
それは出会ったときから変わらない、この笑顔。

僕のこの気持ちって、ヒヨリとノボリがお互いに想い合っている気持ちと同じなのかな?

だけど、僕がどんなにヒヨリを好きでも。
ヒヨリとノボリみたいな関係にはなれないんだ。

だから、僕は僕にしかできないことでヒヨリを守ってヒヨリを好きでいるんだ。
それにノボリとの約束もあるからね。



大好きだよ、ヒヨリ。これからもずっと・・・。



この気持ちはテーブルに置かれている、イチゴのような。
ちょっぴり甘くて酸っぱい気持ち。


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