ドキドキする。
バトルサブウェイの事務室の前にナマエは立っていた。


―――ようし!


意気込んで、ドアノブに手を伸ばした。
ゆっくりと遠慮がちにドアを開いた。

「こんにちわ〜」
「おや、ナマエ・・・。どうしたのですか?」

目当ての人物が書類からナマエの方へ目を向けた。
モジモジしてるナマエをみて、ノボリは書類を机の上に置くと、
椅子から立ち上がり、ナマエの方へ歩み寄る。

ノボリと向かい合っても尚、ナマエはモジモジしていた。
目を泳がせ、顔を赤らめ、少し焦っている感じの模様。
ナマエは喉の奥につっかえてる言葉をつっかえながらもノボリに伝える。

「あのね・・えっとね・・・ノボリさんお昼ってまだ?」
「えぇ、これからいただこうと思っていたところですが」

ふと、ノボリはナマエの両腕が後ろに回されていることに気が付く。
お昼、という単語にノボリは閃いた。

口角を上げ、後ろにあるナマエの手首を掴むとゆっくりと己の前へ持ってきた。
その途中でナマエが小さな悲鳴を上げていた。
四角い包みが目の前に現れた。

「これは一体なんでしょうか?」

ノボリが反対の手で包みを指差した。
ナマエは恥ずかしそうに言葉を紡いだ。

「の、ノボリさんと一緒に食べようと思って作ってきたの・・・」
「ナマエの手作り・・・ですか?」
「うん。初めて作ったから形とかは保証しないけど・・・」
「その指の傷も・・・」

彼女の指にはいくつかの絆創膏が貼られていた。
必死に言い訳を探しているナマエを見て、自分のためにと頑張ってくれたその姿を思い描いた。
ノボリはその手を優しく包み込むと、ナマエの頬に口づけを落とした。

「ありがとうございます、ナマエ」
「うひゃ!」


頬にキスをするのは思いやりの証。
(自分のために頑張ってくれた彼女へ感謝のしるし)


おわり。
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