仕事の帰り道。
遊園地の入り口付近にある、ベンチに見覚えある女の子が座っていた。
どうやら様子がおかしい。
彼女の方に行ってみると、顔を下にしてすすり声が聞こえてきた。
どうやら泣いているようだ。

「・・・っく」
「ナマエ・・・?」
「あ、クダリ・・・」

名前を呼ぶと、案の定彼女は顔をあげた。
僕は彼女の隣に腰を下ろすことにした。

「こんなところでどうしたの?」
「・・・っく、あのね・・・」
「また、彼氏絡み?」

そう言うと、彼女は瞳にまた涙が浮かぶ。
付き合い始めてからというものの、ナマエは彼とうまくいってないらしい。
もう、どれだけ彼を思って泣いたのだろうか。

「もう、我慢の限界だよ・・・」

そういうナマエの頬に手をそっと置く。
ナマエはびくっと肩を強張らせた。
親指で目元の涙を拭いてやる。

「クダ・・・リ?」
「別れちゃいなよ、それで僕のところにおいでよ」
「・・・え?」

そういうと、僕はナマエの額にキスを落とした。

「じゃあね」
「あの・・・!」

立ち上がった僕に声をかけるナマエ。
僕はもう一度ナマエの頬に手をやる。

「返事は今度でいいよ」

そう言い残し、手を離して帰路についた。

「バカ・・・ありがと」

クダリにキスされた所を抑えながら、嬉しそうにナマエは呟いた。





額にキスをするのは友情の証
(今のキスで僕のこと意識してほしいな)


おわり。
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