First kiss


今日、クダリさんのお仕事はお休みということで。
私はクダリさんの家に遊びに来ていた。
ベッドでゴロゴロしながらテレビを見ていた。
唐突に、クダリさんに名前を呼ばれた。

「ね、ナマエ」
「はい?」

クダリさんの方に振り向けば、彼は真剣な眼差しを私に向けていた。
そっと私の身体を引き起こし、耳元で囁いた。

「キス、していい?」
「・・・へ?」

私は固まった。


First kiss


「ナマエ?」
「はひっ!」

クダリがナマエの名前を呼べば、ナマエは甲高い声を上げてしまった。
それに苦笑するクダリはナマエの顔を覗きこんだ。

「どうしたの?そんな固まった顔して・・・」
「え・・いや、な、なななんでもないですよ!」
「嘘ばっか。キスでそんなに慌てちゃって」

なんでもない、と言ってもクダリにはお見通しのようで。

「!!」

図星をつかれたナマエは顔を赤くして、視線を下へ落としてしまった。
クダリはすっと、ナマエの頬に手を伸ばす。
手が頬に触れれば、ナマエはビクリと肩を震わせ顔を上げた。
クダリと目が合えば、クダリは微笑む。

「大丈夫。目、つぶってくれる?」

クダリに言われ、首を縦に振れば、目を閉じる。
クダリは少しだけナマエの顔を上に向ける。
うっすらと開かれている唇に顔を近づけていく。
ちゅ、と押し当てればそっと離れていった。

ナマエは目を開くと、後ろへと倒れてしまった。
ぽふん、とベッドに身体が沈む。

「あれ?ナマエ?」

クダリが名前を呼んでも、うんともすんとも言わないナマエ。
だんだん罪悪感を感じてしまったクダリはナマエの後ろ側に寝込むと、
そっとナマエの身体を抱きしめた。耳元に唇を寄せて、言葉を紡いた。

「ごめん、そんなに僕のキス嫌だった?」

クダリの言葉にハッとしたナマエは、身体をクダリの方へと回転させた。
きゅ、と服の裾を掴んで顔を上げた。

「ち、違うよ。ただ・・・キス、初めてだったからどう反応して良いのかわからなかっただけ・・・です」

赤くなって震えるナマエにクダリは肩を震わせた。
ナマエを抱きしめていた腕を少しだけ強くした。

「ナマエ可愛いー!」
「ひゃぁっ!」
「く、クダリさん。苦しいよ・・・」
「ごめんごめん。つい嬉しくって、ね」
「え、何が??」

きょとん、とした目でクダリを見れば、クダリは微笑んでいた。

「ん?初めてのキス、もらえて嬉しいなって思って」
「そ、そうかな・・・?」
「僕は嬉しいよ」

付き合ったのもクダリが初めてなナマエ。
抱きしめられてるだけでも、心臓がドキドキとうるさくなる。
この音がクダリに聞こえているのかと思うと、余計に恥ずかしくなる。
初めてのことが多すぎて、戸惑う自分をクダリは嫌いにならないだろうかと。
クダリはそんなナマエが可愛く思えて、彼女を自分好みに染めてしまうのも良いなと思っていた。

「ね、ナマエ?」
「はい?」
「それ以上の初めても僕に頂戴ね?」
「え・・・?」

再び固まったナマエに苦笑しながら、クダリはもう一度ナマエの唇にキスを落とした。


[戻る]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -