ポッキーゲーム


バトルサブウェイの昼休み。
ナマエはいつものようにサブウェイマスターの執務室に足を運んでいた。
ノボリは今、昼の見回りのため、席を外している。
そのため、クダリと二人きりになる。

ソファーに座って、愛用の雑誌を広げた。
この服、かわいいなぁと思いながらページをめくっていく。
ページをめくる音が部屋に響く。
クダリは箱を手に持つと、静かに立ち上がった。
ナマエの背後に回るが、肝心の本人は雑誌に夢中で気づいていない。
そっと手を伸ばし、ナマエを後ろから抱きしめると、ナマエの名前を呼んだ。

「ナマエ」
「クダリさん、どうしたんですか?」

雑誌を閉じて、腿の上に置く。
ナマエは首をひねってクダリの方を向いた。

「これ」

クダリは持っていた箱をツバサの目の前に持ってきた。
それは、お菓子のポッキーだった。

「ポッキー、がどうかしたんですか?」

首をかしげてクダリに問う。

「今日はポッキーの日なんだって。だから、ポッキーゲームしよう!」
「え?どうして、ポッキーの日でポッキーゲーム?」
「なんとなく、かな?一度やってみたかったんだ」

そう言って、クダリはにかっと笑った。


ん?待って・・・確か、ポッキーゲームって。
ポッキーの端っこをお互いが口にくわえて、ポッキーをかじっていってそれで・・・。


みるみるうちに顔が赤くなるのが自分でもわかった。
ボン、という音がなりそうなくらいに。
ナマエ頬が赤いまま、クダリに反論する。

「い、嫌ですっ!」
「えーっ」

珍しくクダリが口を尖らせた。
一度でいいからやってみたかったのに、と肩を落とす。

ナマエはクダリの肩を落とす仕草に弱い。
それを見ては、嫌とは言えず。

「・・・っ!一回だけですからね!」

というと、クダリは表情を明るくした。

「ありがとう、ナマエ!」

箱から一本のポッキーを取り出す。
クダリが先に口に加えると、ナマエも口に加えた。

「いふよ?(いくよ?)」


サクッ、サクッ


合図と同時にポッキーの折れる音が部屋に響く。
少しずつ短くなる、ポッキー。
クダリの顔が近づくたびに心臓がうるさく跳ね上がる。

クダリの吐息を感じた時、ナマエは思わず目を閉じてしまった。


―――キス、しちゃう!


思っていた感触が来ない。
恐る恐る目を開けると、ニコニコとポッキーを食べてるクダリの顔が見えた。

「あへ(あれ?)」
「ふふっ、キスしちゃうと思った?」
「く、クダリさんのばかぁぁぁぁ!」

ポカポカとクダリの肩を叩く。

「あはは、ごめんって」

クダリはそう言って、ナマエの両手首を掴むと、今度こそナマエの唇にキスを落とすのだった。


ポッキーゲーム!
(今日はポッキーの日!)


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