雑誌の特集僕の大事な大事な彼女がすごい剣幕でやってきた。
「クダリさん、お願いがあります!」
「ん、お願い?」
そう言いながらカップに口をつけてコーヒーを飲む。
次の瞬間、彼女は顔を赤くして僕にとんでもないことを口走った。
「私の胸を触ってください!」
「ぶっ・・・!」
僕は飲んでいたコーヒーを盛大に噴きだした。
雑誌の特集
吃驚した。何を言い出すのかと思えば。
まさか、君の口からそんなことを聞くなんて。
普段、下ネタを言えば顔を赤らめる君が一体どうして。
吹き出したことを不快に思ったのか、ナマエが顔をしかめた。
「クダリさん、どうして吹くんですか?」
「どうしてって。何でまた・・・」
「それは・・・これです」
ナマエは頬を染めると、ある雑誌を僕に差し出した。
それは女の子のファッション雑誌で、見せられたページには下着の特集が書かれていた。
「『彼が喜ぶ下着特集』ねぇ・・・」
こくんこくん、と頷くナマエ。
読んでいけば、男がどんな胸を寄せ集めてる下着がいいとか、
ショーツはこういうのがいいとか語られている。何とも破廉恥な内容である。
と言うか、これと胸を触ってくれとどういう関係があるのだろうか。
そりゃ、好きな子に胸を触ってくれって言われて喜ばない男はいないと思うよ。
僕も嬉しいし・・・、ってちがぁぁぁう!!
普段そんなことを絶対に口にしない子がどうして。
ナマエはさらに頬を染めて呟いた。
「クダリさんはどういう胸が好きなのかなって思ったの」
ここ、とナマエが指差した項目。
そこには『彼が好きな胸特集』と書かれていた。
そう言うことか。僕が好きな胸ってどういうのかってわからなかったから、触ってもらって聞こうと思ったのか。
と言うかこの雑誌は何と言うことを特集してくれたんだ。
僕のナマエに変な知識教え込んで。
おいこらと叫びたくなる衝動に駆られたけど、なんとか持ちこたえた。
でも、少しだけ嬉しくも思った。
僕はにっこり微笑んでナマエに言った。
「ね、ナマエ」
「なぁに?」
首を傾げる彼女の耳元に唇を寄せた。
「ナマエも考えてくれてたの?」
僕とこういうことするの、と低く囁いてみた。
かぁぁぁっと赤くしたナマエはこくんと頷く。
僕はナマエの頬にそっとキスをする。
「軽蔑した?」
不安そうにナマエが聞いてくるものだから、僕は可愛いなと思いながらその身体を抱き寄せた。
「全然。むしろ嬉しいよ。だけど、下着云々で興奮するより、僕はナマエ自身で興奮したい」
「クダリさん!?」
驚いて顔を上げたナマエ。
その顔はさっき以上に真っ赤だ。
「あはは、冗談だよ」
「もう・・・」
今言った事は、あながち冗談でもないんだけどね。
今はまだ、ナマエとこういう風にして笑ってキスできれば十分なんだよ。