今、私はノボリさんにベッドで押し倒された状態でいる。
両手首を顔の横に縫い付けて、私を熱いまなざしで見下ろすノボリさん。
「ナマエ様・・・」
「ノ、ボリさん・・・」
いただきます
ノボリさんに会いに行ったら、部屋にはクダリさんがいてノボリさんはいなかった。
ノボリさんが戻ってくるまでの間、クダリさんが私の相手をしてくれて。
最近仲間になったクルミルの話をしてて、話に夢中になっちゃってノボリさんが戻ってこなかったのに気が付かなくて。
急に腕を引っ張られたと思ったら、奥のノボリさん専用の部屋まで連れてこられて。
クダリさんはやっちゃったって顔してたし。
―――もう、どうしよう・・・!
この状況をどうやって突破しようか頭の中で考える。
ノボリさんが口を開く。出てきた言葉は意外なものだった。
「申し訳ございません・・・」
「え?」
どうして謝られるんだろうか?
確かにこの状況は困るけど、謝るほどのことでもないとは思うんだけど。
ノボリさんは顔を赤くして言った。
「クダリに嫉妬してしまいました」
「クダリ、君に?」
私は目を見開いた。
どうしてクダリ君に嫉妬なんて・・・。
「あなたとクダリの間に何もないことは承知です。
ですが、あなたとクダリが仲が良ろしいとわたくしは不安に駆られてしまいます」
さっきよりも顔を赤らめ、熱っぽく言うノボリさん。
あぁ、そういうことか。
そんなこと言われると、なんだか私までドキドキしてきた。
だけど、与えてしまった不安は取り除いてあげなくちゃ。
私は顔に熱が集中するのを感じながらも、目を細めた。
「ノボリさん、心配しないでください。私はノボリさん一筋ですから」
「ナマエ様・・・!」
ノボリさんだけ、と言えばノボリさんは安心してくれたのか、笑ってくれた。
だけど、笑ったのは一瞬で、またさっきの熱っぽい顔に戻ってしまった。
さっきよりも少し強い力で手首を握られる。
「あの・・・」
「はい・・・?」
「今の一言で、わたくし、あなた様を抱きたくなりました」
「・・・っ!」
ノボリさんの言葉に、私は言葉を失った。
ノボリさんは私のブラウスのボタンを肌蹴させると、首元に吸い付いた。
「やっ・・・」
チクッと甘い痛みが走った。
私は思わず声が漏れてしまう。
ノボリさんは首元から離れると、妖艶な笑みを浮かべた。
「ナマエ様・・・。どうか、あなた様はわたくしのものだという、証を下さいまし・・・」
「え、ここで!?」
一応はノボリさんの部屋ってことになってるけど、
いつだれが来るかもわかんないところでなんて絶対に嫌だ。
ましてや、職場でなんてもっての他。
必死でもがいていると、ノボリさんがとんでもないことを口にした。
「では、わたくしの家でならよろしいと・・・?」
「・・・っ!」
どうしてそうなるの。
またまた言葉を失って固まっていると、ノボリさんが耳元に唇を寄せて囁いた。
「今夜は楽しみにしてますよ、ナマエ・・・」
ノボリさんが私のことを”ナマエ”と呼んだ時点で、私の選択肢はもはやなくなる。
今夜は寝かせてくれそうにないのかなと思うと、私の顔はまた赤くなるのだった。