「やっちゃえ、デザトリアン!」
現場へやってくれば、自分達よりもはるかに大きい怪物が駅構内で暴れていた。
「あの怪物は一体・・・!」
「とにかく応戦いたしましょう!シャンデラ・・・!」
「「え・・・?」」
そう言って、ノボリがモンスターボールを投げようとした時だった。
急に怪物が横へ倒れこんだ。
その勢いで砂煙が立ち上がる。
砂煙が晴れてきたころ、そこには一つの影が立っていた。
「お、女の子!?」
ノボリとクダリはぎょっとして、顔を合わせた。
プリキュアとサブウェイマスター
「コブラージャ!あんた、どうしてここに・・・!」
「おや、君はキュアハーブ。君、この世界に飛ばされたんだよ」
「!!?」
「何だって!?」
コブラージャの言葉に、ハーブ、そして物陰に隠れていたホップが目を見開いた。
飛ばされた、とは。その前に、ここは別世界なのか。
「その妖精の姿を見れば、一目瞭然だと思うよ。ちょうどいい。他のプリキュアはいないみたいだから、まずは君から始末してあげるよ」
そう言うと、コブラージャは1輪のバラの花を掲げて叫んだ。
ふるふる、と震える身体に鞭を打ち、ハーブは叫んだ。
「そうはさせない!」
「デザトリアン、あいつを始末しなさい」
デザトリアンの攻撃をかわし、プリキュアキックをお見舞いさせるが、
びくともしない。ハーブは胸のリボンに力を溜めたのち、手を上にかざした。
「プリキュア・ハーブ・エッセンシャル!!」
緑の光がデザトリアンを包んだ。
だがその光をデザトリアンが跳ね返してしまった。
「だめ、効かない・・・!」
―――こんな時、ハートキャッチミラージュの力があれば!
ハーブは唇を噛んだ。
悔しい、自分にもっと力があれば。
―――強くなりたい、強くなりたい・・・っ!
ハーブが目を閉じて、そう心に強く念じた時だった。
「な、何!?」
パァァァァ、とハーブを強い光が包んだ。
―――感じる。皆の力。
『世界に輝く一面の花!ハートキャッチプリキュア!スーパーシルエット!』
『花よ、咲き誇れ!』
『プリキュア・ハートキャッチ・オーケストラ!!』
突如、スーパープリキュアになったハーブを見て、コブラージャは目を見開いた。
「な、なに!?」
その力によって、デザトリアンは浄化された。
心の花がハーブの手元に降りてきた。
ハーブはデザトリアンにされたであろう、人物を探すとその人物の胸に心の花を当てて戻してやった。
「覚えてろ!」
唇を噛み、コブラージャは消えて行った。
「あ、待って!!」
まだ、聞きたいことが。
どうして自分だけこの世界に来てしまったのか。
それを聞きたかった。
が、今は自分の姿をただただ見るしかなかった。
「変身・・・できた」
ハートキャッチミラージュもなしにスーパープリキュアになれた。
これがハーブには不思議でたまらなかった。
そんなハーブの背後にノボリとクダリが近づいていく。
「君は・・・?」
声の方に振り向いて、ぺこっとお辞儀をすればハーブもその場を後にした。
「お待ちくださいませ!」
ノボリが呼び止めるも、ハーブはすぐに姿を消してしまった。
呆然とハーブの立ち去った後を見つめるノボリ。
「あの方は一体・・・」
「ノボリ兄さん。後のことは僕に任せて、ノボリ兄さんはコノハちゃんのところに」
「クダリ、あなた・・・」
「僕はあの子は絶対コノハちゃんだと思う。覚えてないっていうのが変だけど、
あの雰囲気は絶対コノハちゃんだ。それに、傍にいたポケモンもモンメンだった。
コノハちゃんに間違いないと思う」
モンメン。
それは、このはが行方不明になる前にパートナーとして傍に連れていたポケモンだった。
「しかし、もしコノハだとしても、外見が少し幼すぎでは御座いませんか?」
「確かに少し幼いよね。それには何か理由があるのかも。何かの実験にされた、とか」
「まさか・・・!」
クダリの言葉にノボリが青ざめた。
「とにかく、コノハちゃんは何か理由付けて傍に置いといたほうが僕は良いと思う」
「わかりました」
そう言うと、ノボリはこのはがいるであろう、医務室に足を向けるのだった。
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