「私を知らない?どういうことですか・・・!」

ノボリはこのはの身体をゆすりながら叫んだ。
このははゆすられたことで、頭がくらくらしてきた。
意識が白くなりそうなのを堪えながら、このはも叫んだ。

「やっ・・・!だから、知らないんですってば!」


プリキュアとサブウェイマスター


ぐわんぐわんと、このはの身体を揺らすノボリの手にクダリの手が重なった。

「ノボリ兄さん、落ち着いて!!」

クダリの制止の言葉にノボリがハッとしてこのはの身体を離して謝罪の言葉を述べた。

「申し訳ござません・・・」

目が回りそうなのを堪え、前を見据えたこのは。
クダリはこのはの身体を支えてやった。

「大丈夫?僕はクダリ。君の名前は?」
「このはです。深森このは。こっちはホップです」

このはとホップがぺこっと頭を下げると、ノボリも深々と頭を下げた。

「先ほどは失礼いたしました。わたくしはノボリ。そこにいるクダリの兄で御座います」
「ノボリさん、にクダリ、さん。よろしくお願いします」

そう言うと、このはは目の前の2人にもう一度頭を下げた。
ノボリは切なそうな表情でこのはの目を見据えた。

「あなた様は半年前に行方をくらませた私の恋人にそっくりなので御座います・・・」
「えっ・・・それで、私のこと・・・」
「ええ、本当に申し訳ございません」

ノボリはきりっと姿勢を立て直すと、もう一度頭を下げた。

「いえ、事情は分かりましたから。ですが彼女さん、見つかるといいですね」
「はい、ありがとうございます。しかし、コノハ様はなぜあのような場所に倒れておられてたのですか?」

ノボリとクダリの疑問。
誰もいないあの時間、あの場所で何があったのか。
困った表情でこのはが口を開いた。

「あの・・・私・・・」

と、同時に駅員と思われる人物がこの部屋へ入ってきた。
そろそろ始発の電車が動く時間帯だ。

「マスター、大変です!大きい怪物が地下鉄の構内で暴れています!」
「何ですって!?」
「今行く!君はここで待ってて!」

そう言うや否や、ノボリとクダリは怪物がいるであろう現場へ駆け込むのだった。
怪物、と聞いてこのはは顎に手を当てて考えてみた。

「ねえ、ホップ。怪物ってさ・・・」
「まさか、ね?僕らも行ってみる?」
「もちろん!」

そう言うと、このはは元気よくベッドから降りるのだった。
ホップと一緒に怪物がいるという現場へやってきたこのはは物陰に隠れた。
見上げれば、デザトリアンと思われる物体が暴れていた。
幸い、人通りの少ない時間なのか、あまり人は見られなかった。

「デザトリアン!!」

このははデザトリアンに乗っている、水色のロングの髪の男の姿を見つけた。

「何でコブラージャがここにいるのよ!!」
「このは、プリキュアに・・・!」
「わかった!」

そう言うや否や、ハーブパフィームを天へとかざした。
カチッ、と音がすれば、このはの姿が白いワンピース姿へと変わった。
ハーブパフィームの中心部から放たれた緑の光。
その光はホップの額の宝石へと流れていく。

「プリキュアの種、いくよー!」

それと同時に現れた緑色のプリキュアの種。
このははそれを取ると、呪文を唱えた。

『プリキュア!オープンマイハート!』

香水を天へふりかける。
頭の上で一回転させて香水をかければ、そこから光が放たれる。
胸元に緑色のリボン。
葉っぱのようなはなびらのようなスカート。
緑色のブーツに蛍光緑の髪。
そこにハートのティアラが降臨した
このはのプリキュアの姿が現れた。

手で花の形を作り、プリキュアの名前を叫んだ。

『深緑の香り感じる、一輪の花!キュアハーブ!!』


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