今日はノボリもヒヨリもお仕事はお休み。
特に出かけることもなく、家でまったり過ごしていた。

今は昼時。
昼食を食べ終えた3人はソファーで寛いでいた。
ヒヨリがノボリに抱きしめられるのは最早定番。
ヤナップはヒヨリに抱かれ、うとうととしていた。

「ヒヨリ、ヤナップが眠たそうで御座います」
「ヤナップ、眠いの?」
「ナップ…」

眠い目を擦りながらヤナップは頷いた。
ヒヨリはにこっと微笑んでヤナップの頭を撫でた。

「眠いなら寝て良いよ」
「ヤナァ…」

ヒヨリの撫でる手がまた心地いい。
本当は寝るよりヒヨリに甘えていたいが、睡魔はそれを許してくれるはずもなく。
ヤナップは目を閉じて夢の世界に入って行った。


こういうこともある


「ナァプ…」

目が覚めると、自分はソファーに寝かされていた。
自分の上にはブランケットがかけられていて、
きっとヒヨリが風邪を引かないようにかけてくれたのだとヤナップは思った。

ノボリとヒヨリがキッチンから器にお菓子を盛り付けてやってきた。

「あ、ヤナップ。目が覚めた?」
「ナァップ」

未だ眠い目を擦って頷くヤナップ。
ヒヨリは持っている器をテーブルの上に置いた。

「そろそろ3時だからおやつにしよう?」
「小腹も空きましたし…」

そう言ってノボリはお盆に置かれていたお茶をテーブルの上に置いた。
ヤナップ用にもきちんとジュースは作ってある。
大好きなオレンの実をヒヨリがミキサーでブレンダ―したジュースだ。
そのジュースがヤナップの目の前に置かれた。

「ナァップ!」

目を輝かせたヤナップの横にヒヨリ、ノボリが腰を落とした。

「「頂きます」」
「ヤナナプ」

そう言って一つクッキーを口に含めば、独特の甘みが口内に広がった。

「ナァップ!」
「おいしい?」
「ナァップ!」
「それは良かった」

おいしそうに食べるヤナップを見て、ヒヨリは笑みを漏らした。

「ヒヨリ」
「なぁに?」
「”あーん”ってしてくださいませんか」
「えっ…!?」

ノボリの言葉に頬を赤く染めるヒヨリ。

「たまには良いでは御座いませんか」
「うー…」

頬に手を伸ばして見つめるノボリ。
ヒヨリは視線を逸らし、テーブルの上のクッキーを見つめた。
クッキーに手を伸ばし、一つ手に取った。
赤くなった顔でノボリを見つめると、ヒヨリは言葉を紡いだ。

「ノボリさん。”あーん”して…」

ヒヨリに言われた通り、口を開けたノボリ。
ゆっくりとヒヨリの手がノボリの口へと近づいていく。
クッキーがノボリの口へと入った。
ノボリは口に含まれたクッキーをゆっくりと噛みしめた。
甘い味が口内へと広がっていく。

「おいしいで御座います」
「良かった…」
「もう一度お願いします」
「えっ…!?」
「ナップ!」

また頬が赤く染まれば、横からヤナップがヒヨリの腕を掴んで叫んだ。

「えっ、ヤナップもしてほしいの?」
「ナァップ!」

ヒヨリがそう言えば、ヤナップもうん、と答えた。

「ヤナップ。今はわたくしがヒヨリといちゃいちゃするので御座います。邪魔しないで下さいませ」
「ヤナァ!ヤナナ、ヤナップナププ!」

ヒヨリを挟んでノボリとヤナップが喧嘩を始めてしまった。

「ちょ、ちょっと二人とも!」
「ヤナナップヤナナヤナップナププヤナナップ!」
「ええ、ヤナップが寝てる間にわたくしはヒヨリを頂きましたとも!」
「ノボリさ…!何を言って…!」

確かにヤナップが寝てる間にキスとかちょっとしたスキンシップはした。
だがそれ以上のことはしていない。

「ナプナププ!ヤナナ、ヤナップナププ!!」
「ヤナップはいつもヒヨリに甘えているでしょう?今はわたくしがヒヨリに甘える番で御座います!」

ヤナップがヒヨリの腕に自分の腕を絡めて叫べば、ノボリはヒヨリの身体を自分の方へ引き寄せた。

未だヒヨリを挟んでぎゃあぎゃあ言うノボリとヤナップ。
これにはヒヨリにも我慢の限界と言うものがあって。
ふるふると身体を震わし、こめかみに青筋を立てた。

「いい加減にしなさーい!」

ヒヨリの突然の言葉にビクッと身体を震わすノボリとヤナップ。
珍しくヒヨリが怒った瞬間だった。

「ちょっと二人とも。そこに直りなさい!」
「…はい」
「ナップ」

ソファーの上で正座させられたノボリとヤナップ。
楽しいおやつの時間が一変、お説教の時間へと変化する。
2人はヒヨリに小1時間のお説教をもらったのだった。

お説教が終わった後、2人は慣れない正座に足を痺らせるのであった。

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