ノボリの部屋でノボリとヤナップはベッドに腰掛けていた。

「ヤナップ、明日は素敵な1日にしますよ」
「ナァップ!」

明日はホワイトデー。
愛しのヒヨリにバレンタインのチョコのお返しをするつもりのようだ。

2人の男(?)はその闘志を燃やすのだった。


WHITE DAYS


朝、いつものように手を繋いで歩くノボリとヒヨリ。
ヤナップはいつもノボリの肩かヒヨリの肩に乗っている。
今日はノボリの肩に乗っているようだ。
ノボリとヤナップは顔を合わせて頷くと、ヒヨリの顔を見た。

「ヒヨリ、今日の夜は外で食事をなさいませんか?」
「えっ?」

驚いてノボリを見上げた。
いつもどこかで外食をしようと言うと、ヒヨリの料理が良いと2人は言うからだ。
こんな珍しいことがあるのだろうか?
ヤナップが拍車をかけるように言った。

「ヤナナ、ナププ!」
「ヤナップも外でご飯食べたいの?」
「ナァップ!」

可愛くて大事なヤナップが頷けば、ヒヨリもクスリと笑った。

「ふふ、わかりました」
「では、今日の仕事が終わり次第、お迎えに上がります」
「はい」

話がまとまれば、ノボリとヤナップはお互いの顔を見て微笑んだ。
どうやらこれも計画のうちらしい。

話しながら歩くのは本当にあっという間だ。
地下鉄までたどり着けば、ノボリはヒヨリとヤナップを売店まで送り、自分も仕事場へと足を運ぶ。

勝負は夕方。ノボリもヤナップも今から楽しみで仕事中はいつもよりテンションが高かった。
不思議なことにミスすることもなく、その日の業務は終わりを告げた。


―――――――


「ヒヨリ、ヤナップ。お迎えに上がりましたよ」
「ナァップ!」
「おっと!」

夕方、ノボリがヒヨリとヤナップを迎えにやってくれば、
ヤナップは待ってましたとばかりにノボリに飛びついた。
ノボリはヤナップを抱き留めた。

「ふふ。ヤナップってば、この後のご飯がよっぽど楽しみだったみたいで。ずっと浮かれてたんだよ?」
「ナプ!」
「ヤナップ。わたくしも楽しみで仕方ありませんでしたよ」
「ナップ、ナップ」

ヤナップは本当にうれしそうだった。

「あ、私、着替えてきますね。ヤナップ、おいで!!」
「ナァップ!」

そう言うと、ヒヨリとヤナップはロッカールームに消えて行った。
3人のやり取りを見ていたヨシエがノボリに声をかけた。

「ノボリさん。ヤナップはなんだか今日はご機嫌で仕事をしていたよ。今日は何かあるのかい?」
「ヨシエ様。今日は3月14日で御座います」
「ああ、ホワイトデーかい」
「ええ、わたくしもヤナップも最高のホワイトデーをヒヨリにプレゼントする予定で御座いますよ」
「そりゃいいねぇ!」

ヨシエが甲高く笑った。着替えを済ませたヒヨリとヤナップが戻ってきた。

「お待たせ、ノボリさん!」
「ナップ!」
「では参りましょうか」
「はい。ヨシエさん、お先に失礼します」
「お疲れ様、ヒヨリちゃん、ヤナップ!」
「ナァップ!」

ノボリが差し出した手を取ると、ヒヨリはヨシエに笑顔で挨拶をした。
ヒヨリの手を引き、ノボリは目的地まで足を運ぶのだった。

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