「本当にいろいろあったね」
「そうですね」

目を閉じれば色々と思い出す。
ノボリと初めて結ばれた夜、ヤナップとの大喧嘩、どれもヒヨリのかけがえのない思い出だ。

ヤナップはノボリと視線を合わせると、こくんと頷いた。

「ナァップ!」
「ヤナップ?どこ行くの?」

扉に向かったヤナップをヒヨリは不審に思い、首を傾げた。

「ヒヨリ」
「えっ・・・?」

ノボリがヒヨリの名前を呼ぶ。
振り向けば、ノボリがヒヨリに口づけを落とした。
唇を離せば、ヒヨリをそっと抱き寄せた。

「ヒヨリ。わたくしは今もこの先も生涯あなただけを愛していきます」
「ノボリ、さん?」

急に畏まったノボリにヒヨリは頭に?マークを浮かばせた。


―――生涯、え?


「あなたもこの先、わたくしと一緒にいることを誓っていただけますか?」
「えっ、それって・・・」

ヒヨリの身体を離すと、ノボリがポケットから一つの小さい箱を取り出した。
箱を開けると、中身をヒヨリに見せた。
そこには小さなダイヤの形をした指輪がキラキラと輝きを見せていた。
驚いたヒヨリは思わずノボリの顔を見つめた。
ノボリは柔らかく微笑んでヒヨリに言った。

「結婚、していただけませんか」
「わ、たし、で・・・良い、の?」

震える声でノボリに問う。
ノボリはヒヨリの左手を取り、薬指に指輪をはめるとそこにキスを落とした。

「あなたでないとだめなのですよ、ヒヨリ」
「よ、喜んで!!」

頬を染め、涙ながらにヒヨリは答えた。
ノボリはもう一度ヒヨリを抱きしめた。

「断られるかと思いましたよ」
「私だってノボリさんが好きなんだよ?」

つい本音が出てしまったノボリにヒヨリはくすくすと笑う。

「ええ、わかっております。愛していますよ、ヒヨリ」
「私もノボリを愛してる・・・」

ヒヨリの言葉にノボリは目を丸くした。

「・・・ヒヨリ」
「なぁに?」
「今、わたくしを・・・」
「ん?ノボリって言った事?好きだよ、ノボリ。愛してる」
「ヒヨリ、愛していますよ。誰よりも」

額同士を当てて幸せそうに笑う二人をヤナップが扉越しに見て微笑んでいた。
頃合いを計らって、ヤナップから小さなお祝いの花束が贈られる。
それを見て、ヒヨリが涙をまた流したのは言うまでもない。


I love you
(これからもずっと、あなただけを好きでいることを誓います。ノボリ、あなたが大好きです)



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