あれから少ししたら、帰る準備が整ったノボリさんがやってきた。
「帰りますよ」と手を引かれ、駅の中を歩いていく。
ノボリさんを待っている間、ヤナップは疲れたのかボールの中に入ってしまった。
そのボールはノボリさんのポケットに入っている。
私の家とは違う方向へ歩いていく。

「ノボリさん?私の家、そっちじゃないよ?」
「今日はわたくしの家に来て頂きます」
「え・・・?」

そう言ったノボリさんの目が、瞳が私を捕えた。
私は恥ずかしくなり、視線を逸らした。
ノボリさんは私の手を握ったまま、無言で家の方へと歩いて行った。


―――――――


ノボリの家のドアの前。
鍵を差し込んで、ヒヨリを玄関へと誘導する。
玄関へ入った瞬間に、ノボリに後ろから抱きしめられた。

「ノボリさん?」
「ヒヨリ・・・あなたが無事でよかった・・・」

抱きしめてきたノボリの身体が震えていた。

「震えてる、の?」
「どうもわたくしはあなたのことになるとだめですね・・・」
「・・・え?」

ノボリはヒヨリの身体を前へ向かせると、ヒヨリの頬へ手を伸ばした。

「ヒヨリ。あなたが無事で何よりです」

ヒヨリは頬に添えられているノボリの手に自分の手を重ねて言葉を紡いだ。

「まだお礼言ってなかったね。助けに来てくれてありがとう、ノボリさん」
「ヒヨリ・・・」

ノボリの顔が近づいてきた。
ヒヨリはそっと目を閉じた。
唇と唇が触れ、離れて行く。
目を開ければ、優しく微笑んだノボリが居た。

「さ、ここは冷えます。中へ入りましょう」
「うん」


―――――――


ご飯を食べ、お風呂から上がれば、あとは寝るだけ。
ベッドに腰かけ、ノボリがお風呂から出るのを待つ。

横ではヤナップが気持ちよさそうにすやすやと眠っていた。
愛しそうに目を細め、ヤナップの頭を撫でていれば、時折寝言を言うヤナップ。

がちゃ、と寝室のドアが開かれた。どうやらノボリがお風呂から上がったようだ。

「お風呂気持ちよかった?」
「ええ・・・」

そう言うと、ノボリはベッドに腰掛ける。
ヒヨリをそっと引き寄せた。
顔を上げさせ、ヒヨリの頬を撫でる。
ノボリはそのままヒヨリに口づけた。
一回離れては、また触れる。それの繰り返し。

「ヒヨリ、ヒヨリ・・・」

何度も何度もヒヨリの名前を呼び、角度を変えていく口づけ。

「んっ・・・ふ、ぁ・・・」

時折漏れる、ヒヨリの甘い声。
苦しくなってうっすらと口を開けば、ノボリの舌がヒヨリの口の中へと侵入してくる。
驚いたヒヨリはノボリのパジャマをきゅ、と掴んだ。
気が済むまでヒヨリの口内を堪能した後、ノボリはゆっくりと唇を離した。
酸素を求め、肩を上下に揺らす。ようやく落ち着いてきたころ、ヒヨリが口を開いた。

「ノボリさん、今日どうしたの?」
「あなたはわたくしが一生守っていきます」
「・・・え?」

ノボリの言葉に目を丸くしたヒヨリ。
ヒヨリの前髪をかき分け、額にキスを落として微笑んだ。

「ずっと、わたくしに守らせてください」
「・・・はい」

ノボリの胸に頬を摺り寄せ、ヒヨリは幸せそうに返事をした。

「愛していますよ、ヒヨリ。これからもずっと・・・」

そう言うと、ノボリはもう一度ヒヨリの身体を抱きしめた。


I love you
(今日のことで思いました。彼女は、ずっとわたくしが守っていくと・・・)



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