ジリリリリリ―――。

ベッドの上でで壮大な音が鳴り響く。
ヒヨリはそれに手を伸ばすとてっぺんのボタンを押した。

「ん・・・」

布団の中で一瞬丸くなると、起き上った。

「うみゃぁぁ」
「ナ・・・プ?」

ヒヨリの声にヤナップもうっすらと目を開ける。
それに気づくと、ヒヨリはヤナップに笑みを漏らした。

「おはよう、ヤナップ」
「ナップ!」

「ナップ、ナップ」

朝のキッチン。
ヤナップはおぼんを持って、お茶を運んでいた。
テーブルに置くと、ヒヨリはキッチンから顔を出した。

「ヤナップ、お手伝いありがとうね」

ヤナップがうん!、とでも言うかのように鳴けば、インターホンが鳴った。


―――ピンポーン


朝に自分の家に訪ねてくる人物は一人しかいない。ヒヨリは驚いて時計を見た。

「え?うそ、もうこんな時間!?」
「ナップ?」

だが、いつも彼が来る時間とは明らかに早かった。ヒヨリは頭を抱えた。

「ノボリさんが来ちゃったよぉぉぉ!」
「ナップ!?」

ノボリ、という言葉にヤナップもヒヨリと同じ行動をとった。
火を使って手元から離れられないため、ヤナップに玄関まで行ってもらうようにお願いする。

「ヤナップ、ごめんね。出てきてくれる?」
「ナップ!」

そう言えば、ヤナップは玄関まで走っていく。
ドアノブを開けば、ノボリがにこにこ笑って立っていた。
ヤナップも自然と笑顔になる。

「おや、ヤナップ。おはようございます」
「ナップ!」

ノボリの挨拶にヤナップも両手を上げて挨拶する。

「ヒヨリ様はまだ中に?」
「ナップ」

うん、と言うように鳴けばノボリはヤナップをひょいと抱き上げた。

「失礼しますよ」

そう言うと、玄関に足を踏み入れる。
靴を脱げば、目指すはヒヨリがいるであろうキッチンへ。

「ヒヨリ様、おはようございます」
「あひゃぁ!?」

まさかノボリが家に入ってくるとは思わず。
ヒヨリはノボリの声に驚き、びくんと身体を強張らせた。
調理に使っていたフライパンが落ちなかっただけでも良かったのだろうか。ノボリは苦笑する。

「そんなに驚きにならなくても・・・」

ノボリの言葉にヒヨリは舌を軽く出して言った。

「すみません。ノボリさん、おはようございます」

ノボリはテーブルに並べられている、料理を見ながらつぶやいた。

「今日は少し早目に来てみましたが・・・。朝食ですか?」
「はい。あ、ノボリさんも食べますか?」
「そうですね、いただきましょうか」
「わかりました。そうだ、ご飯ができるまでの間にヤナップをお風呂に入れていただいても良いですか?
お湯は沸いていますので」
「構いませんよ」
「ナップ!?」

ヤナップは驚いた表情でヒヨリを見た。

「ヤナップ、これからお風呂に入れてもらえるよ」
「ナップ!」
「浴室は廊下出て右側にありますので」
「わかりました。行きましょう、ヤナップ」
「ナァップ!」

ノボリに腕を引かれながら、ヤナップは浴室へと向かったのだった。

朝食ができたので、ノボリとヤナップを呼びにきたヒヨリは、脱衣所のドアを開けると、ヤナップとノボリの楽しそうな声が聞こえてきた。

「あ、ヤナップ!じっとしてて下さい」
「ナップ!?」

きっと、ノボリがヤナップの身体を洗っている時にヤナップが身震いして
ノボリに石鹸の泡が降りかかったのであろうところを想像すれば、自然と笑みが漏れてきた。
仲睦ましそうにノボリとヤナップの声がする。
とんとん、と脱衣所と浴室を繋ぐドアを叩いた。

「ふふ。ノボリさん、ヤナップ。ご飯できましたよ」
「わかりました」
「ナァップ!」

ヒヨリの声にノボリはヤナップの身体についた泡を流してやった。
浴室から出てくれば、ヒヨリはヤナップにタオルをかけて全身を拭いてやる。拭いてやれば、ヤナップはさっぱりした表情を浮かべた。

「ありがとうございます、助かりました」
「いいえ、このくらい大丈夫ですよ」

ノボリもタオルで濡れた個所を拭く。
リビングに戻って、椅子に座る。
皆で一斉に両手を合わせた。

「それでは、いただきます」
「いただきます」
「ナププ」

3人が家を出る時間まであと少し。


I love you
(ヤナップとノボリさんと一緒に食べたご飯は一人で食べるよりおいしかった)



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