「ジョーイさん、ヤナップは?」
「残念ですが、ヤナップは・・・」
「そんな・・・!」

治療室からヤナップが乗っている担架が出てきた。

「いや・・・ヤナップ・・・!いやぁぁぁ!!!」


I love you


ハッ、とした感じで目が覚める。

「ゆ・・・め?」

ソファーでどうやら眠ってしまったようだ。
太陽は西に傾き始める時刻。
ヤナップが倒れてから随分と時間が経っていた。
治療室のドアを見れば、まだヤナップの治療は続いていた。
ノボリは仕事がまだ残っていると言って、地下鉄に戻っていった。
あぁ、またヨシエさんに心配かけさせるだろうなぁ、と思うとヒヨリは苦笑した。

注射器マークの赤い表示が消えた。
ドアが開き、ジョーイが姿を現した。
ヒヨリは立ち上がって、ジョーイの元へ駆け寄った。

「ジョーイさん、ヤナップは・・・?」

悲しそうな表情を浮かべたヒヨリにジョーイはにっこり微笑んだ。

「もう、大丈夫ですよ」

その言葉にヒヨリは涙交じりの笑みを浮かべた。

「ありがとうございます・・・!」

そう言うと、ヒヨリはジョーイに頭を下げた。
治療室からは担架に寝かせられたヤナップが運び出されてきた。
タブンネが運んでいく姿をヒヨリはずっと見ていた。

「あのヤナップ、まだあの森にいたのね・・・」
「ジョーイさん、ヤナップのこと知ってるんですか?」
「えぇ。あの子、群れで行動してたんだけど、いつしかはぐれてしまったみたいで・・・」
「それじゃあ、あのヤナップは・・・」
「ずっと、一人であそこで仲間が来るのを待ってたんだと思うわ・・・」

それを聞いて、ヒヨリの表情は曇っていく。
ポケモンセンターのドアが開かれた。
そこには息を切らせたノボリの姿があった。

「ジョーイ様!ヤナップは!?」
「ノボリさん・・・!」

切なそうにヒヨリを見た。

「ヒヨリ様、ヤナップは?」
「もう、大丈夫・・・だって」

ぽろっと、ヒヨリの目から涙が零れた。

「ヒヨリ様・・・」

ヒヨリの肩にそっと手を置いたノボリ。

「良かったよ・・・あの子が無事で・・・」

すすり泣くヒヨリをノボリはそっと抱きしめた。

「ヒヨリ様、ヤナップのところに行きましょう」
「え?」
「そうですね、その方がヤナップも喜ぶでしょう」
「はい」

ノボリはヒヨリの肩をそっと抱き、ヤナップがいるであろう病室へと歩いていくのだった。


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