「ジョーイ様!」
「あら、ノボリさん・・・どうしたんですか?」
「あの・・・この子・・・!」

ヒヨリが泣きそうな顔でジョーイに腕に抱えてるヤナップを見せた。
顔を青ざめさせて、苦しそうに息をしていた。

「このヤナップ・・・!」

ジョーイの顔が険しいものに変わっていく。

「おそらく、ペンドラーの毒針をまともに受けて・・・」
「すぐに治療を・・・!」

そう言うと、タブンネは担架を持ってきた。
そこにヤナップを寝かせると、治療室へと運ばれていく。
注射器のマークが赤く点灯する。
ヒヨリはその光景を見ると、瞳から涙を漏らした。

「私のせいだ・・・」
「ヒヨリ様・・・」
「私があの子に会いに行かなければこんなことにはならなかったのに・・・」

両手で顔を覆うヒヨリ。
ノボリはヒヨリの頭をそっと自分の肩に引き寄せた。

「大丈夫です。きっと、ヤナップは助かります・・・」

その言葉にヒヨリは顔を上げた。
ノボリと視線が合えば、ノボリはにっこり微笑んでいた。

「絶対、助かってくれるよね・・・?」
「えぇ。大丈夫です」


―――誰かを思って泣くあなたは本当に美しい。いつからでしょうか、わたくしもあなたにこんな風に思われてみたいと思うようになったのは。


横で泣くヒヨリ様は今はヤナップを思って泣いている。
わたくしがもし、あなたに思いを告げた時、あなたはどう思われるのでしょうか。
今みたいに泣いていただけますか?

ノボリはヒヨリの目尻に指を寄せた。

「ノボ、リ・・・さん?」
「ヒヨリ様・・・わたくしは・・・」
「?」
「いえ、今はやめておきましょう」

今はただ、彼女に言った事が現実になることを祈りましょう。


I love you
(お願い、死なないで。あなたを失ったら私は・・・)



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