布団の上に座り込み、丸い背中を震わせる少年。
彼が嗚咽を漏らすたびに、艶やかな黒髪が揺れる。

「早くよくなりますように」

その背中を撫でるのは一人の少女。
俯く少年の頬にそっと手を伸ばし、指に乗せた軟膏を傷口に薄く塗っていく。

少年は振り返りもせず、膝の上で握りしめた拳を睨みつけた。

「また俺だけ生き残って……っ」

彼はそう吐き捨てるように告げたきり、それ以上何も言うことはなかった。
少女は悲しげに眉を下げ、ただずっと震える背中をさすり続ける。

「私だって……同じだよ」

彼女が呟いた言葉は、心を閉ざした少年には届かなかった。

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