お昼の甘味(櫂トシキ・男主) 


今何時?
12時前か...
そろそろ来る時間帯...

ピンポーン

来たっ!

「いらっしゃ〜いっと!!」

ガチャっ

「開けろ」

「やだっ☆」

恐らく扉の向こうで
昼飯の材料片手に
ドアを開けようとしてる彼を邪魔する。

「そうか...なら帰る。飢え死ね」

「いや、ごめん!ちょっと待って!開けるからっ!帰んないで!!」

慌てて鍵を解除する。
ここで大切な食事を断つ訳にはいかない。

「ったく...お前も独り暮らしするなら、自炊くらいまともにしろ」

「そんなこと言わないでくださいよー。お隣に料理上手な仲の良いお兄さんがいたら、自炊なんてそんなねぇ」

「ふざけてるのか」

ふざけてない。
俺はトシ兄の料理が食べたいから自炊しないのっ。
そうやって頬を膨らませていても、
トシ兄は俺に構わず、キッチンへ。

「ねぇ〜、今日は何作るの?」

「冷やし中華」

「お、夏っぽーい!」

キッチンへ並べられる野菜たち。
その中に俺の好物はあった。

「トマト頂きー!」

そう言いながら、トシ兄を抱くように後からミニトマトを横取りする。

「っ..!こらっ、ツカサッ」

抱き締めるような体勢で横取りしたため、俺の腕の中で身じろぎするトシ兄。

へへっ、そんなに睨んでもトシ兄より身長の高い俺はビクともしませんよ?

「トシ兄も食べる?」

そうやってトシ兄の口前にミニトマトを持っていってやる。

「っ、この...!」

「い゛っ...!」

たぁぁぁぁっ
なんなのもう!
足!思いっきり踏みやがった...!
くっそ...

「酷いよ、トシ兄...」

「お前が邪魔するからだ!!」

だからって本気で踏まなくても良いのに...
まぁ、そういうところが
トシ兄らしいっていうか...

「ちぇー、可愛くないの」

「うるさい」

これは同居しても痛い目見そうだなー…
あー、でも料理上手なトシ兄が欲しいよー

「ずっと側にいてくんないかな...」

「なに?」

「いいえっ、何でもありません!」

うわ、気付いた...
結構小さい声で言ったつもりなんだけど。
別に聞かれても問題ない...いや、どっちかって言うと
聞いてて貰いたい...

「でも、トシ兄が欲しいなって話だよ」

「っ..!」

改めてキッチンへ向き直ったトシ兄に言いながら、
次はちゃんとトシ兄の腰の前で手を組み、耳元で囁く。

「無防備」

「〜…っ!!」

逆方向に顔を逸らしたトシ兄の顎を掴んで、こっちに向かせそっとキスをする。

「んっ...やめっ..ツカサッ」

「ゴメンね」

もう一度。
最初は一回だけのつもりだったんだけど。

「はなっ...せ...!」

「やだ」

あーあ、まだ昼だよ?
ご飯だって食べてないのに。

まったく...可愛いんだから。

先に甘いもの、頂きますね。





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