チチッ
チュン..
「んっ..」
小鳥の囀ずりと部屋の明るさで目を覚ます。
雪は昨日よりも積もっているらしく、障子の向こうも明るいようだ。
(俺は...)
意識がはっきりしてくると、身動きが取れない状況にある事に気付く。
柱に縄で縛り付けられている。
それも口に何かを詰められて。
どうしようもなく苦しい...
なんとか縄を解こうとして体を捩るが、こうも縛られていると簡単にはいかない。
俯いたまま体を捩る俺の視界に着物の裾が入った。
(っ!?)
勢いよく顔を上げる。
「やあ。」
そこには、ニコニコと満面の笑みを浮かべる少年の顔があった。
(誰だっけ、こいつ...)
茶髪で子供みたいに無邪気な笑みを浮かべて...
例えると、猫、みたいな雰囲気があるって言うか...何て言うか、可愛い感じ。
こんな奴知らなっ...
(あ。もしかして昨夜、俺に刀を向けた...)
昨夜の記憶が瞬く間に流れ込む。
(そうだ、俺、新選組に捕まって...
すると此処は新選組の本拠地か。
だとすれば、あの人の事を...!
「んっ、んん゛」
だが口に詰められている物のせいで声を出すことができず、もごもごと音を漏らすだけ。
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