一章


チチッ
チュン..

「んっ..」

小鳥の囀ずりと部屋の明るさで目を覚ます。
雪は昨日よりも積もっているらしく、障子の向こうも明るいようだ。

(俺は...)

意識がはっきりしてくると、身動きが取れない状況にある事に気付く。
柱に縄で縛り付けられている。
それも口に何かを詰められて。
どうしようもなく苦しい...

なんとか縄を解こうとして体を捩るが、こうも縛られていると簡単にはいかない。
俯いたまま体を捩る俺の視界に着物の裾が入った。

(っ!?)

勢いよく顔を上げる。

「やあ。」

そこには、ニコニコと満面の笑みを浮かべる少年の顔があった。

(誰だっけ、こいつ...)

茶髪で子供みたいに無邪気な笑みを浮かべて...
例えると、猫、みたいな雰囲気があるって言うか...何て言うか、可愛い感じ。
こんな奴知らなっ...

(あ。もしかして昨夜、俺に刀を向けた...)

昨夜の記憶が瞬く間に流れ込む。

(そうだ、俺、新選組に捕まって...

すると此処は新選組の本拠地か。
だとすれば、あの人の事を...!

「んっ、んん゛」

だが口に詰められている物のせいで声を出すことができず、もごもごと音を漏らすだけ。




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