序章-浅葱色-


「待ちやがれ小僧!」

...!?

驚いて聴こえてきた方向を見ると
大声を上げながら男達が走って行くのが見えた。

(浪士か!?ってちょっと待て、追われてるのって女の子じゃんっ!)

袴こそ着ているものの、女にしか見えなかった。
自分も人に言える様なものじゃないけど。

「助けないと...」

そう呟いてしまった。
走り出そうと足を止める。

「ぎゃあああっ!」
「ひひひっ...ひゃははははははっ!」

不気味な叫び声が木霊して聞こえた。
躊躇なく思いっきり肉を切り裂く音も。

(何これ...っとにかく急がなきゃ)
女の子も殺されてしまうっ!?

再び走り出そうとするが足が竦む。

「副長!あそこです!」
「お前らは先に行けっ」
「承知」
「りょーかい」

俺の直ぐ近くを忙しい会話が通りすぎた。
その走り去る姿にはー…
(え...?)

浅葱色の羽織。
あれってもしかして、新撰組か!?
考える間もなく、俺はその羽織を追いかけた。探し求めていたその姿を。

ヒュ...
ザッ
ドサ...

血の飛び散る音が耳に届く。
咄嗟に俺は通路の角に身を潜めた。



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テーマ「人外ファンタジー」
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