序章


【文久三年 十二月】

月が降り続く雪を更に白く照らし出す。
積もった雪を踏み付けるように1人の少年...いや、少女は京の地へと踏み入った。

「ここに...あの人が...」

男装をしているのには理由がある。
普通、女が刀を携えていると不自然だから。
まぁ、実を言うと己の願望を叶える為だが。
あの人に憧れて以来、毎日の様に剣を振るってきた。
お陰で剣の腕には自信があったりして...。

そんなこんなで夜の京を楽しみながら歩いているとふと気付く。

(新選組ってどこにいるんだろう...?)

本題を忘れていた。そうだ、俺が京に来た理由...
それはあの人が所属している同じ新選組に入隊するため...
手掛かりは『浅葱色の羽織を纏っている』ただそれだけ。

(参ったなぁ...)

取り敢えず、町の人に話を聞く為、適当に声を掛けた。

「あの、新選組に会いたいのですが...何処に行けば会えるでしょうか?」

「新選組!?あんた、新選組に会ってどうするんだい...?」

「えっ...?」

どういうことだ?
聞けば聞くほど悪い噂ばかり。
人斬り集団だとか、鬼副長だとか...
集まる場所を聞けば、危険だの止めとけだの。
大した情報も得られず途方に暮れていた時だ。




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